全人代、法施行の強化に向けた検査状況などを報告

(中国)

北京発

2023年11月02日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第6回会議が1024日に閉会した。会議では、特別国債の発行(2023年10月31日記事参照)や「愛国主義教育法」の草案、「海洋環境保護法」改正法案など複数の法令法規に係る決議がなされた。

会議の総括として、趙楽際委員長が閉幕式で講話を行った。「愛国主義教育法」は、愛国主義の精神を継承し発揚させ、強国建設と民族復興をする上で極めて重要とした。改正した「海洋環境保護法」は、海洋強国の建設を加速するため、より堅実な法的保障を提供するものとした。関係各部門に対しては、法律の完全かつ効果的な実施を確保するため、啓発や広報で準備を滞りなく行い、法律の実効性を確保するよう指示した。

会議では、生態環境と資源保護の分野における法の執行と司法の状況に関し、「一府両院(注1)」からレポートを受け特別調査を行ったと報告があった。レポートでは、全人大常務委員会は「湿地保護法」と「科学技術進歩法」に対し、6月から9月にかけて検査を実施し、法の執行状況と主要な問題点が述べられ、法の施行を強化するための意見と建議(注2)が提出された。その他に、全人代常務委員会法執行検査グループによる「科学技術進歩法」の実施検査に関する報告(注3)も行われた。

また、国務院の金融事業報告、2022年の国有資産管理に関する総合報告、国有資産管理に関する総合報告および金融業の国有資産に関する特別報告、高考(大学入試)改革に関する報告が行われた。

幹部人事も発表され、国防部の李尚福部長、科学技術部の王志剛部長、財政部の劉昆部長が免職となった。科学技術部長に陰和俊氏、財務部長に藍佛安氏が就任した。

(注1)一府は人民政府、両院は人民法院と人民検察院を指す。

(注2)報告では、次の事項が意見・建議として挙げられている。協調を強化し、法定義務を厳格に実施。法律を厳格に執行し、法律の強靭(きょうじん)性と権威を確保。支援と保障を強化し、湿地の保護と修復の水準を高める。法規則を整備し、湿地保護のための法網を構築。広報と教育を深化させ、多方面にわたる共同管理の良好な体制の形成を推進。

(注3)報告では、次の事項が意見・建議として挙げられている。法制度の有効性を確保するため広報の実施と強化。トップレベルの企画・設計を強化し、イノベーション体系の有効性を高める。新型国営制度を整備し、重点核心技術の研究を加速。基礎研究力を強化し、科学技術強国建設の基礎を固める。制度と体制の改革を加速し、科学技術イノベーションの基本システムを改善。中央のイノベーション資源を調整し、地方の科学技術進歩を支援。

(亀山達也)

(中国)

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