米USTR、USMCA通じたメキシコの航空会社での労働問題解決を発表

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2023年11月09日

米国通商代表部(USTR)は10月30日、メキシコ政府に事実確認を要請していた貨物航空会社マス・エアでの労働問題が解決したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の件は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、問題解決が図られていた。米国政府は8月末に、メキシコ国内の労働組合の航空パイロット組合連合(ASPA)の申し立てを受けて、メキシコ政府に事実確認を要請していた(2023年9月1日記事参照)。USTRの発表によると、その後、メキシコ政府、ASPA、マス・エアとの間で問題解決に向けた建設的な連携が取られた。解決策としてマス・エアとメキシコ政府が講じたものとしては次の事項が含まれる。

  • マス・エアが労組活動参加への報復として解雇したパイロットを復職させ、未払い分の給与を支払うとともに、復職を拒否したパイロットには解雇手当金を支払う。
  • マス・エアが労組活動に対して中立を維持するとの声明と、団結の自由・団体交渉権に関するガイドラインを掲載。
  • マス・エアが労働者から同社ガイドライン違反に係る懸念を匿名で報告できる社内ホットラインを設置。
  • メキシコ政府がパイロット用の施設で団結の自由と団体交渉権に関する研修を実施。

これらの改善策の履行を受けて、米国は現時点では追加的な行動は取らないとしている。キャサリン・タイUSTR代表は「これらの取り組みはバイデン政権が引き続き、サービス分野も含めた幅広い事業所での労働者の団結の自由と団体交渉権を守っていくことに取り組んでいる証左」との声明を出している。この問題解決により、米国がメキシコに対してこれまで発動した合計16件のRRM案件のうち、8件が解決済みとなる(添付資料参照)。

(磯部真一)

(米国、メキシコ)

ビジネス短信 8ed58548413ccff0