PSMC、SBIホールディングスと合弁で宮城県に半導体工場設立を発表
(台湾)
調査部中国北アジア課
2023年11月02日
台湾の力晶積成半導体(PSMC)は10月31日、PSMC、SBIホールディングス、宮城県、およびPSMCとSBIホールディングスが準備会社として設立したJSMCの4者が覚書を締結し、JSMCの半導体工場設立地として宮城県黒川郡大衡村の第二仙台北部中核工業団地を選定したと発表した。
選定の理由としてPSMCは、給排水、高圧電力、ロジスティックなどのインフラの充実度、災害への強度、周辺の住環境、今後の産官学連携の可能性などを踏まえて決定した、としている。
PSMCは、台湾のファウンドリー(半導体受託製造)企業の中で、2022年の売り上げは台湾積体電路製造(TSMC)、聯華電子(UMC)に次いで3位を占める。TSMCのような先端ロジック半導体の生産は行っていないが、メモリーとロジック半導体の双方を手掛けており、22~28 ナノメートル(nm)以上の半導体の生産に独自の技術を持っている。
PSMCの工場はこれまで台湾域内のみに立地しており、仙台工場が初の海外拠点となる。SBIホールディングスの表によれば、仙台工場では、28nm、40nm、55nmの半導体について、月間4万枚のウエハーを生産できるよう計画しているという。
台湾の調査会社トレンドフォースは、TSMCの熊本工場、北海道のラピダスに続いて、今回東北で半導体工場が設立されることについて、「PSMCの工場は車載向け優先でスタートすると思われるが、東北の半導体拠点としての重要性が一層増した」とコメントした。また、同社は「日本の半導体産業の復活が感じられる一方で、日本においても半導体人材不足が懸念されており、政府主導によるさまざまな人材育成プログラムによって対応を急いでいる」とも指摘した。
(江田真由美)
(台湾)
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