2023年版金融包摂指数、シンガポールが総合順位1位

(ASEAN、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)

調査部アジア大洋州課

2023年11月24日

米国の金融機関プリンシパル・ファイナンシャル・グループが発表している「2023年版世界金融包摂指数報告書」によると、東南アジア(シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)の金融包摂指数は47.5ポイントで、前年度より5.8ポイント上昇した。世界平均と比較すると、0.2ポイント高い結果となった(添付資料表1参照)。

同調査の金融包摂指数は世界42カ国・地域を対象に、個人や企業の金融商品やサービス(取引や支払い、貯蓄、投資、保険など)の包摂性について、「行政」「金融システム」「経営者」に分類した指標合計22項目で評価し、その総合指数でランキング化したもの(注)。

東南アジアを国別でみると、シンガポールは42カ国・地域中、前年調査に続いて1位だった。タイは10位(同19位)、ベトナムは17位(同30位)、マレーシアは18位(同20位)と、それぞれ前年調査から順位を上げたが、インドネシアは30位(同28位)に後退した(添付資料表2参照)。シンガポールは「行政」「金融システム」「経営者」のいずれも高い評価だった。ベトナム、マレーシア、インドネシアは「経営者」の評価が高い一方で「行政」「金融システム」は相対的に低かった。

東南アジアと同様、新興国ではデジタル金融を中心とした取り組みに投資しており、将来の金融包摂、成長性、経済の強靭(きょうじん)性に大きな変化をもたらす可能性があるとした。とりわけ、タイ、ベトナム、マレーシアなどの東南アジアは金融包摂で急速な進歩を遂げており、銀行やフィンテックの新規参入によって金融システムに参画できる国民の割合を大幅に伸ばすことができるとみている。

なお、日本は42カ国・地域中27位だった(前年度22位)。特に「経営者」支援に分類される複数の評価項目が世界と比較して低かった。

(注)同調査の評価項目(22項目)の内訳について、「行政」は雇用水準、公的年金制度、教育レベル、金融リテラシーレベルなどを含む10項目、「金融システム」はリアルタイム取引、銀行口座へのアクセス、フィンテックの存在とその質、中小企業の成長・成功推進力などを含む8項目、「経営者」は企業年金・退職拠出金制度、従業員保険スキームなどを含む4項目。

(小山千紗子)

(ASEAN、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)

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