英政府、AIモデル分析向けのスパコンに投資、アフリカでの支援も発表

(英国、アフリカ、米国)

ロンドン発

2023年11月02日

英国政府は11月1日、AIセーフティサミットの開幕(2023年11月2日記事参照)に合わせて、先進的なAI(人工知能)モデルの分析向けに、国内のスーパーコンピュータに追加投資を行うことを発表した。3月に発表された1億ポンド(約183億円、1ポンド=約183円)に2億ポンドを追加し、総額3億ポンドを投じる。これにより、国内に新たに2台のスーパーコンピュータを設置、相互に接続する。それぞれイングランド西部のブリストルと、ケンブリッジに設置する。2024年の夏から、研究者の利用を可能にする予定。AIの安全性の試験のほか、新薬の開発やクリーンエネルギーなどの分野での利用にも役立てる。

英国政府は同日、カナダ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国などとともに、アフリカでの開発に資するAIプロジェクトへの総額1億ドルの資金提供を発表した。今後5年間で、主に次の項目に取り組むとしている。

  • アフリカの大学でのAI関連の大学院トレーニングや特別研究員向けに資金を提供
  • アフリカ大陸を正確に表すデータを用いたAIモデルの構築を行うイノベーターへの投資
  • 責任あるAIのガバナンスを育成し、AIに伴うリスクを緩和、技術変化に対する各国経済の適応を支援
  • 持続可能な開発目標(SDGs)の推進に向けたAIの活用方法の検討におけるサブサハラアフリカ諸国の影響力強化に資する支援

スナク首相はハリス副大統領と会談

英国のリシ・スナク首相は同日、AIセーフティサミットに参加予定の米国のカマラ・ハリス副大統領と会談した。フロンティアAI(注)による新たな機会や、偏見や偽情報といったリスクに対して国際的に協力することの必要性について議論。スナク氏はハリス氏に対し、米国の新たなAIセーフティ機関(USAISI)設立の発表など、AIの安全性に関する注力分野を両国が共有していることを歓迎した。英国はサミットに先立ち、独自のAIセーフティ機関を設立することを発表しており(2023年10月31日記事参照)、英国政府はUSAISIとも緊密に連携する予定としている。

(注)英国政府の定義によると、広範なタスクを実行可能で、現在最も進んだ人工知能(AI)のモデルが有する能力に匹敵、またはそれを超える能力を持つ高性能な汎用型AIモデル。

(山田恭之)

(英国、アフリカ、米国)

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