成都市で日中自動車産業サプライチェーン交流会

(中国、日本)

成都発

2023年11月29日

中国商務部投資促進事務局は11月15日、成都市で「自動車イノベーション大会(2023年)」を開催した。中国内外の専門家や自動車・同部品メーカー、研究機関などから約400人が来場した。

同大会のテーマは「イノベーション」。中国の自動車生産・販売台数は、中国政府によると、2022年時点でそれぞれ2,702万1,000台、2,686万4,000台で、生産・販売とも、四川省成都市竜泉駅区人民政府によると、世界市場全体の約3割を占めているという。

さらに、新エネルギー自動車(新エネ車)産業の急成長に伴い、世界自動車メーカーの対中投資が新たな段階へと移行している。具体的には、従来の合弁事業による生産から、合同研究、ソフトウエア技術開発、サプライチェーン構築へと変化している。「イノベーション人材Talk」と題したセッションでは、上海交通大学、ドイツ総合化学メーカーBASF、現代自動車、滴滴出行(注)など11社の企業、研究機関から専門家らが登壇し、自動運転や最先端技術、素材などを紹介した。特に滴滴出行は現在運用中の自動運転について動画を交えて説明した。北京郊外で実証実験をしており、商業化が進んでいるとし、同社サービスのアプリから天気や経路により自動運転モードを選択できるとした。

ジェトロでは、同大会のサブフォーラムとして、商務部投資促進事務局と共催で「日中自動車産業サプライチェーン交流会」を開催した。日本自動車工業会北京事務所や、四川省自動車産業協会、一汽トヨタをはじめとする約100人の日中自動車関係者が参加。中国での新エネ車産業が発展している中、サプライチェーンでの日系企業のチャンスや可能性、日中協力の方向性について討論を行った。

四川省自動車産業協会の郝世強秘書長は中国の電気自動車(EV)の発展について「中国の自動車保有台数は他の先進国と比べて低水準のため、この市場での成長余地は十分にある」と述べた。また、中国の新エネ車は航続可能距離や、イノベーションの創出、ブランド力などが依然として課題だと指摘した。

同交流会ではパネルディスカッションも実施した。「産業アップグレードにおける中外産業チェーン協力の新しいモードと方向性」をテーマに、長安汽車傘下の深藍汽車、みずほ銀行、日本精機、野村総研などの各専門家は、EVシフトが進む中国市場での日本企業の経営戦略や新規事業の実現可能性などについて討議した。

写真 日中自動車産業サプライチェーン交流会の様子(ジェトロ撮影)

日中自動車産業サプライチェーン交流会の様子(ジェトロ撮影)

(注)北京市に本社を置き、タクシーの手配、カーシェアリングなどの配車サービスを提供している。近年、自動運転やEVの開発なども行っている。

(王慧シン)

(中国、日本)

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