APEC首脳会議、WTO改革へのコミットを宣言、包摂性などを通商政策に統合する原則を歓迎

(米国、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)

ニューヨーク発

2023年11月21日

米国サンフランシスコで開催されたAPEC首脳会議が11月17日に閉幕し、会議終了後に首脳宣言(原文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます和文仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が発表された。議長国の米国は、議長声明(原文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます和文仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))も併せて発表した。議長は、米国のジョー・バイデン大統領が務めた。

首脳宣言では、自由で開かれた、公正で無差別で透明性がある、包摂的かつ予見可能な貿易および投資環境の実現に向けて協働するとの決意を表明した。WTOを中核とするルールに基づく多角的貿易体制の重要性を再確認し、WTOの全ての機能の改善に必要な改革にコミットすると記した。2024年までに、全てのメンバーにアクセス可能な完全で十分に機能する紛争解決システムを設立することを目指し、議論を行うと言及した。市場主導による地域の経済統合をさらに進めるため、質の高い包括的な地域事業に参加する国・地域の準備を支援する能力構築および技術協力の取り組みを強化すると訴えた。

また、首脳宣言は「包摂性および持続可能性の貿易・投資政策への統合のためのサンフランシスコ原則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を歓迎すると明記した。同原則は、APEC参加国・地域が包摂性と持続可能性を重視する通商政策を推進するとの意図を示したものになる。例えば、貿易・投資政策の策定や実施において、利害関係者からの意見公募を含むオープンで透明性のあるプロセスを設けることを掲げた。また、クリーンエネルギーへの移行などを支援する措置として、環境物品・サービスの貿易・投資の促進で協力を強化することも盛り込まれた。これらの取り組みの実施に当たっては、各国・地域の状況に合わせて経済、社会、環境の各側面をバランスよく考慮すべきとも記した。

米国ホワイトハウスが発表した議長声明では、首脳宣言では触れられなかったウクライナやパレスチナ自治区ガザの情勢について言及した。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、ほとんどのメンバーがウクライナ侵略を強く非難し、ウクライナの領土一体性、主権および政治的独立を含め、国連憲章の原則に基づいて公正かつ永続的な平和を達成する必要性を強調する、と指摘した。

首脳会議の閉幕を受け、米国務省は11月17日、米国が議長国を務めた2023年のAPECを総括するファクトシートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国通商代表部(USTR)も同日、11月14~15日に開催されたAPEC閣僚会議に関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます議長声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

APECの2024年の議長国は、ペルーが務めることになっている。

(甲斐野裕之)

(米国、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)

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