カナダ政府、公用端末での「WeChat」と「カスペルスキー」を使用禁止

(カナダ、中国、ロシア)

トロント発

2023年11月02日

カナダ政府のアニータ・アナンド行財政管理調整委員会委員長は10月30日、政府支給のモバイル端末における中国の通信アプリ「WeChat(ウィーチャット)」とロシアのウイルス対策ソフト「カスペルスキー」の使用禁止を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日付で、両アプリケーションは政府支給のモバイル端末から削除され、将来的にダウンロードも不可となる。

両アプリケーションは、データ収集時にモバイル端末の中身へ過度なアクセスを要求することから、カナダ政府の最高情報責任者(CIO)が、プライバシーとセキュリティーに関して許容できない水準のリスクをもたらすと判断した。ただ、政府情報が漏えいしたという証拠はないとしている。

措置決定について、行財政管理調整委員会は「カナダ政府のネットワークとデータの安全性と保護を維持し、国際的なパートナーのアプローチと一致させるため」と声明で明らかにした。

アナンド委員長は「われわれは、サイバーセキュリティーに対するリスクベースのアプローチを取っており、政府のモバイル通信機器からの両アプリケーションへのアクセスを断ち切った。カナダ政府は、政府情報のプライバシーと保護を確保するため、情報システムとネットワークの保護に継続的に取り組んでいる。今後も、潜在的なサイバー脅威を定期的に監視し、必要な場合には直ちに対策を講ずる用意がある」と述べた。

カナダ政府は2月、中国系の動画共有アプリTikTokについて、今回のウィーチャット禁止と同様の理由で使用禁止を発表した(2023年3月1日記事参照)。また、8月には、ウィーチャット上で保守党のマイケル・チョン議員に関する偽情報が拡散されたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、中国が情報操作の一翼を担った可能性が高いと分析している。

カナダ政府の発表を受け、中国政府は翌10月31日、ウィーチャット禁止措置に対する反対姿勢を表明した(2023年11月2日記事参照)。

なお、カナダ政府は、一般のモバイル端末にダウンロードして使用するアプリケーションの使用については個人の判断に委ねられていると述べ、リスクを評価するために通信セキュリティー確立のガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの参照を推奨している。

(飯田洋子)

(カナダ、中国、ロシア)

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