伊藤忠商事、スエズ運河でアンモニアバンカリング事業開発へ

(エジプト、日本)

カイロ発

2023年11月06日

伊藤忠商事は10月25日、エジプト・スエズ運河でのアンモニアバンカリング(船舶向け燃料供給)事業の共同開発に関し、エジプトの建設・エンジニアリング大手のオラスコム・コンストラクションと覚書を締結したと発表した。本事業を通じ、温室効果ガス排出削減に寄与するゼロ・エミッション燃料として期待される、アンモニアの舶用燃料利用の実現を目指す。

伊藤忠商事プラント・船舶・航空機部門グリーン・イノベーション営業室長の赤松健雄氏は覚書締結の背景について、「当社とパートナー企業による世界的なアンモニアのサプライチェーン構築と、アンモニア燃料船の開発、その保有・運航で構成された『統合型プロジェクト』の実現に向けた重要なステップ」と強調した。今後、アンモニア燃料船建造、世界の海上交通の要所におけるバンカリング拠点整備、アンモニア生産事業への投資などを通じて、アンモニアを舶用燃料として海運に取り入れることを目指しているという。同氏はエジプトへの期待として、国家主導によるアンモニア生産が推進されることで、同社のバンカリング事業の燃料供給拠点となりうる点を挙げた。

スエズ運河は世界有数の海上交通の要衝で、2022/2023年度の通過船舶数は前年度比17.6%増の約2万6,000隻に達した。スエズ運河庁のオサマ・ラビエ長官は2023年初め、2030年までにスエズ運河を「グリーン運河」とすると表明しており、脱炭素化に向けてあらゆるパートナーとの協力を望んでいると発言した。隣接するスエズ運河経済特区内では、複数のグリーンアンモニア製造プラントの計画が推進、協議されており、アンモニア輸出拠点としての港湾整備も進められている(2023年10月5日記事参照)。

(塩川裕子)

(エジプト、日本)

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