日産、グローバル戦略でブラジル市場の重要性に言及、中国車との競争にも自信

(ブラジル、日本)

サンパウロ発

2023年11月15日

日産自動車は11月7日、ラテンアメリカ市場への戦略的拡大を目指してブラジルへの大規模な投資計画を発表した(2023年11月13日記事参照)。同社はリオデジャネイロ州のレゼンデ工場に2025年までに28億レアル(約868億円、1レアル=約31円)を投資し、新型「Kicks」を含む2つの新型のスポーツ用多目的車(SUV)生産とターボエンジン組み立てのための設備投資を行う。今回発表した2番目の新型SUVはラテンアメリカ域内の20カ国以上に輸出する計画で、地域市場で存在感を増すための積極的な施策となっている。その意味で未発表モデルの内容が注目されている。

今回の投資計画は単独のプロジェクトではなく、10年にわたるより大規模な戦略の一部で、同社のブラジルへの累計投資総額は62億レアルに達する予定だ。また、同投資計画の発表では、ブラジルでの市場シェアを現在の3.4%から2026年までに7%と2倍にする野心的な目標を掲げたが、この目標は、ブラジル市場が日産自動車のグローバル戦略にとってどれほど重要かを、また、同社がラテンアメリカの自動車セクターの潜在的な成長に対して自信を持っていることを示している。

ブラジル市場で存在感高まる中国車との競争にも自信

近年、比亜迪(BYD)や長城汽車など、中国の電気自動車(EV)メーカーによるブラジルへの投資が相次いで発表される中(2023年8月8日付地域・分析レポート参照)、日産自動車の内田誠最高経営責任者(CEO)は11月8日付のバロールの記事で「中国企業は強い競争力を持っている。一方で、われわれは常に適切な車を生産する方法を知っており、これからもそれを続けていくだろう」と述べている。

(中山貴弘)

(ブラジル、日本)

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