CBAMの影響は鉄鋼やアルミ製造企業が中心、説明会を各地で開催

(台湾、EU)

調査部中国北アジア課

2023年11月08日

EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM、注)の移行措置が10月1日から適用され、2025年12月31日までの移行期間中は炭素価格が課されていない対象製品をEU域外から輸入する場合、対象製品の輸入量や、その製造過程で排出される温室効果ガス(GHG)排出量などを記載したCBAM報告書を四半期ごとに提出することが義務付けられる。これを受け、台湾の経済部は2023年10月16日以降、企業に対して専門家による関連手続きの説明会を各地で開催するほか、CBAM申請専用窓口外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを設け、各種問い合わせに対応している。

CBAMの対象品目はセメント、電力、肥料、鉄鋼、アルミニウム、化学品の6品目だが、台湾経済部の試算によれば、ねじなどの鉄鋼製品やアルミニウム製品の製造企業を中心に約3,500社が影響を受ける見込みだという(「経済日報」9月25日)。

台湾は、CBAM規則の移行期間における報告義務に関する実施規則(以下、実施規則)が採択される前に行われていたパブリックコメントの募集に対し、6月13日に意見を提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。経済部が産業界からの意見を取りまとめたもので、実施規則における輸入業者の秘密保持義務に関する規定が定められていないこと、中間産品の炭素含有比率に制限がある点について、中間産品の生産国が炭素排出量を算出していない場合、最終製品の生産企業が最終的な炭素排出量の算出が困難になること、などの懸念を表明している。

このほか、経済部は2022年7月には工業総会とともに産業カーボンニュートラル連盟を立ち上げ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、鉄鋼、石油化学、セメントなど30の主要な業種の組合が加盟した。同連盟は、2022年8月以降、業界団体向けに炭素排出量とカーボンフットプリント算出のための講習会を開催し、企業の炭素排出削減をサポートしている。また、2023年8月7日には高雄市に台湾炭素ガス排出量取引所(TCX)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを設立し、早ければ2024年からカーボンクレジットの取引を開始する予定だ。

(注)CBAMの詳細は2023年8月31日付地域・分析レポート参照

(江田真由美)

(台湾、EU)

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