バイデン米政権、200以上のロシア支援の個人・事業体を制裁対象に追加

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2023年11月09日

米国のバイデン政権は11月2日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアを支援する個人・事業体を金融制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、13の事業体を輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)に追加した。

SDNについては、国務省による指定が90以上、財務省の指定が130となっている。ELへの追加は商務省産業安全保障局(BIS)の権限による。いずれも、これまで米国が発動した対ロシア制裁を迂回(うかい)し、ロシアの戦争継続能力の維持に加担していたことが主な理由となっている。SDNに指定した対象には、米国が対ロシア制裁の一環で同盟・友好国と作成した高度優先品目リスト(2023年10月4日記事参照)に該当する品目をロシアに供給した疑いで、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)に本拠を置くサプライヤーや輸送企業が含まれている。また、ロシア国内の製造業、金融業、研究開発分野などに属する企業も多数、SDNに指定した。SDN指定の個人・事業体には、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止を科す(注2)。アントニー・ブリンケン国務長官は「米国と同盟・友好国はウクライナへの継続的支援で結束している。われわれは今後も利用可能な手段を用いて、ロシアが戦争を継続するコストを引き上げるとともに、ウクライナで行っている残虐行為や虐待への責任追及を強めていく」との声明を出している。

財務省は11月3日には、ロシアのエリート層などの資金洗浄に加担していたとして、同国籍のエカテリーナ・ジダノワ氏をSDNに指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同氏は仮想通貨を利用した資金洗浄を行っており、支援先の中には、米国の医療保険業に対するランサムウェアによるサイバー攻撃を企てているとして、米国当局が監視対象としていた犯罪グループの関係者も含まれていたとされる。

バイデン政権の対ロシア・ベラルーシ制裁については添付資料参照。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。SDN指定を今回受けた企業などの詳細は財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は同省の「ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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