米商務省と海洋大気庁、海産哺乳類保護法に基づく輸入規制の施行を2026年1月に延期

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年11月21日

米国商務省および海洋大気庁(NOAA)海洋漁業局(NMSF)は11月17日、海産哺乳類保護法(MMPA:Marine Mammal Protection Act)に基づく輸入規制の免除期間を2年間延長すると米国連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。これにより、2024年1月から施行を予定していた輸入規制措置は(2022年12月8日記事参照)、2026年1月からの施行に延期される。免除期間の延長は2020年10月および2022年10月に続き3度目。

米国は、2017年に施行されたMMPAの実施規則に基づき、海産哺乳類の混獲(注1)削減に関し、米国と同等の措置を導入していない(同等性のない)、外国漁業によって漁獲された水産物および水産加工品の輸入を禁止する。これまで、日本を含む輸出国の政府は、MMPAに基づく同等性認定を得られるよう、自国の漁業を米国に申請しており、その審査結果が2023年11月30日までに公表される予定だった(注2)。

今回の官報によると、外国政府から約2,500の漁業種類が含まれる134の申請を受け取り、外国漁業の数の多さ、漁業データが常に変化すること、外国の規制の同等性を評価するという実務上の困難さを踏まえ、各国・各漁業の同等性評価を公平かつ一貫性をもって完了させるためには追加の時間が必要と判断したとしている。官報ではまた、仮にNMSFがさらなる時間を必要とする場合、あるいは実施規則の有効性を確保するために規則の修正が必要と考える場合、NMSFは、事前通知やパブリックコメントの募集を行った上で、免除期間のうちに修正を最終化するとしている。

(注1)別の種を意図せずに漁獲してしまう、もしくは意図していたよりも小さい個体や幼体を捕獲してしまうこと。

(注2)NOAAは、各国から申請のあった漁業が(1)米国と同等の混獲削減措置が導入されていない漁業、(2)混獲があり得ないとは言い切れない漁業、(3)混獲があり得ない、または混獲していると認知されていない漁業、いずれに該当するかを審査している。MMPAの実施規則によれば、(1)に該当すると判断された場合には、当該漁業で漁獲された水産物および水産加工品は米国で輸入不可となる。また、(2)や(3)に該当すると判断された場合であっても、漁獲された水産物および水産加工品の中に、米国が特定し各国に通知したHSコードに分類される品目が含まれる場合には、(1)に該当する漁業の漁獲物が含まれていないことを証明する、認容証明書の提出が必要となる可能性があるとされている。

(北出輝雄)

(米国、日本)

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