フィンランド、ロシアとの国境ポイントの大部分を閉鎖

(フィンランド、ロシア、エストニア、ノルウェー)

調査部欧州課

2023年11月28日

フィンランド政府は11月24日、同国東部にあるロシアとの3つの国境ポイントを閉鎖した(11月22日付政府決定SM/2023/9)。この決定は、同国南東部の4つの国境ポイント閉鎖に関する政府決定SM/2023/4(11月16日付)を改定したもの。国境ポイントと稼働状況は添付資料表参照。

11月24日時点で開放されている国境ポイントは、最も北にあるラヤ・ヨーセッピのみとなった。鉄道用の国境ポイント(フィンランド南東部のワイニッカラ)は開放されているものの、現在はヘルシンキとサンクトペテルブルクを結ぶ高速列車が運行されていないため、人の移動には利用できない。

フィンランドのペッテリ・オルポ首相は11月20日、ロシア側から入国に必要な書類を持たない第三国の不法越境者が急増しているとして、ロシアを非難していた(YLE 11月20日)。今回の改定は、南東部の国境ポイント閉鎖後も状況が改善しないため追加的に導入された。

国境ポイント閉鎖に対し、ロシア側は強く反発している。ロシア外務省は11月20日、フィンランドのアンティ・ヘランテラ駐ロシア大使を外務省に呼び、今回の措置はロシア側への通告なしに一方的に行われ、ロシアが難民をフィンランド側に組織的に送り出しているかのような主張は挑発的で、両国関係を一層緊張させるものだと抗議した。

サンクトペテルブルクとヘルシンキを高速バスで結ぶ路線が通過するワーリマーも今回の措置に含まれたことにより、同路線を運行するバス会社2社(ルクスエクスプレス、エコライン)はそれぞれ11月18日以降の便の欠航を決めた。これにより、18日以降のバスでヘルシンキに向かおうとした人の中には、ルート変更を急きょ迫られた乗客もいたようだ。在モスクワの日系企業関係者の間でも、モスクワの空港が閉鎖になった場合の代替ルートとして、サンクトペテルブルクからヘルシンキへの陸路移動を念頭に置くケースがあった。ルートをあらためて検討する必要がある。

ロシアとの間の国境管理強化の動きは、他国への波及が指摘されている。ノルウェーやエストニアは、状況次第でフィンランド同様、ロシアとの国境を閉鎖する可能性を示唆している(RBK 11月16日)。

(欧州課)

(フィンランド、ロシア、エストニア、ノルウェー)

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