タキイ種苗がメキシコに野菜の研究開発センターを開設

(メキシコ)

メキシコ発

2023年11月07日

種苗業界大手のタキイ種苗は11月6日、メキシコのケレタロ州サンペドロエスコベド市で同社現地法人(セミジャス・タキイ・デ・メヒコ)の研究開発センターの開所式を催した。同社にとって世界で17拠点目、研究開発センターとしては9カ所目となる。中南米ではブラジルに次いで2カ所目。

これまでタキイ種苗は、同社の米国法人アメリカン・タキイ(アリゾナ州)の農場で開発した品種のタマネギの種をメキシコに輸出して国内で栽培を行っていた。今後はメキシコの研究開発センターで同国の気候・土壌、さらにはメキシコ人の好みに適合した品種改良を行うことで販路拡大を目指す。具体的な品種は、タマネギ、ブロッコリー、トマト、唐辛子の4品種で、どれもメキシコ料理に欠かせない野菜だ。同社がケレタロ州サンペドロエスコベド市に拠点を構える理由は、ケレタロ州が位置する中央高原(バヒオ地方)がメキシコの一大農業地帯で、農業が主産業として地域に根付いていることや、農耕に必要な水の確保が比較的容易なためだ。

セミジャス・タキイ・デ・メヒコは、15ヘクタールの農地にミドルテック(注)の農業用ハウスを設置している。同農業用ハウスでは、日本で開発された品種のトマトの試験栽培や、トマトの果実が互いにまとまって実り農家が効率的に収穫することができる欧州型の品種の栽培など、さまざまな研究を行っている。メキシコの気候は大きく分けて乾季と雨季に分かれるが、そのどちらでも収穫が可能にするため、乾季に育つブロッコリーと雨季に育つそれを農家に提案する予定だ。同社の上村剛社長は、メキシコで研究開発を行うことで「少ない水でも十分に育つ生産性の高い品種や、病気に強い品種を開発して農業従事者に提案することで、単純に野菜の収穫が増えるだけでなく、彼らの収入を増加させ、より良い生活に至るための手助けをすることができる」と述べている。

写真 研究開発用の畑とハウス(ジェトロ撮影)

研究開発用の畑とハウス(ジェトロ撮影)

(注)空調管理されたハウス内に、土壌を入れて野菜を栽培すること。これに対して、ハイテクハウスは土壌を用いず、主に水耕栽培を行うこと。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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