中国不動産大手の万科企業、1~10月の総売上高が前年同期比9.9%減

(中国)

広州発

2023年11月16日

広東省深セン市に本社を置く中国不動産大手の万科企業(以下、VANKE)は11月2日、2023年1~10月の総売上高を発表した。同社の発表によると、1~10月の販売面積は2,018万4,000平方メートルで前年同期比5.5%減、1~10月の総売上高は3,124億4,000万元(約6兆2,488億円、1元=約20円)で9.9%減となった。

不動産購入の競争激化による価格高騰を抑制するため、深セン市住宅・建設局などは2020年7月15日に「深セン市不動産市場の平穏かつ健全な発展を促進することに関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注1)、2021年2月28日に「深セン市中古住宅の参考取引価格公表メカニズムの確立外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関する通知」(注2)などを公布し、不動産購入規制を実施してきた。それらの影響も受け、VANKEの2021年の販売面積と総売上高はそれぞれ前年比18.4%減、10.8%減になり、2022年の販売面積と総売上高はそれぞれ30.9%減、33.6%減と減少幅が拡大していた。

また、VANKEおよび国内の金融機関が11月6日に開催した第3四半期決算説明会では、深セン市国有資産監督管理委員会(国資委)がVANKEの専門性を十分承知しており、信頼していると表明した。さらに、深セン市地下鉄集団などの国有企業は、VANKEが各種リスクの予防やそれに対処するためのサポートをする力があると強調した。同集団はVANKEの株主でもあり、同集団の辛傑董事長は、必要に応じて同社を支援するとの考えを示し、深セン市再生プロジェクトの一部を担い、100億元を超える資金を投資する予定と述べた(「南方網」11月6日)。

なお、中国不動産大手企業各社が販売不振に苦しむ中、広州市政府と深セン市政府は2023年8月30日に「深セン市の個人住宅ローンにおける住宅戸数認定基準の最適化に関する通知」を発表し、購入者向けに住宅ローン規制を緩和した(2023年9月8日記事参照)。

(注1)同通知は、深セン市の居住有無、社会保険料や個人所得税などの納付といった各種条件を定めて、住宅購入規制を強化した。また、人気エリアでの中古住宅の合理的な参考取引価格を定義し、同価格を超す成約を認めないとしている。

(注2)中古住宅の合理的な取引促進のため、参考価格を公表するメカニズムを構築した。

(梁梓園)

(中国)

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