広州市と深セン市、住宅購入者向けに住宅ローン規制を緩和

(中国)

広州発

2023年09月08日

中国の広州市政府と深セン市住宅・建設局はそれぞれ8月30日に、「当市の個人住宅ローンにおける住宅戸数認定基準の最適化に関する通知」を発表し、住宅購入者向けの住宅ローン規制を緩和した。同通知によると、居住者家族(借り手、配偶者および未成年の子女を含む)(注)が住宅ローンを申請する際、その家族の構成員が同市に住宅を登記していない場合、過去に住宅ローンを組んで住宅を購入したかどうかにかかわらず、銀行などの金融機関は1軒目の住宅購入とみなして住宅ローン政策を実行する。

中国政府は不動産購入の過熱を抑えるために、2010年10月に「商業用個人住宅ローンにおける2軒目住宅認定基準の最適化に関する通知」を発表した。同通知の施行以来、住宅ローンの利用実績を持つ人が新たに住宅を購入する際、頭金比率と住宅ローン金利は1軒目を購入する場合と比べ高くなる措置がとられていた。広州市を例に挙げると、1軒目購入の際の頭金比率は30%で、2軒目以降の頭金比率は住宅の種類によって40~70%となる。住宅ローンの金利は、1軒目は4.2%で、2軒目以降は4.8%となる(「21世紀経済報道」8月30日)。

今回の住宅ローン規制緩和策の背景には、住宅都市農村建設部、中国人民銀行などが8月18日に発表した「個人住宅ローンにおける住宅戸数認定基準の最適化に関する通知」がある。同通知では、住宅ローンを利用したかどうかを1軒目の住宅購入の判定要件から外し、各都市の自主的な選択にするという方針が発表されており、各都市がそれに追随して政策を発表している。9月1日には、上海市と北京市でも同規制緩和策が発表された。

国家金融・発展実験室の任涛特任研究員は「現在の不動産業界を取り巻く環境は根本的に変化しており、過去の規制措置の必要性が著しく低下している」と指摘している(「中国新聞週刊」8月30日)。

(注)居住者家族は、戸籍家庭、非戸籍家庭、独身者、外国人、人材グリーンカードを持っている人などを含む。

(汪涵芷)

(中国)

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