世界需要低迷で、1~9月の輸出入とも減少
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年11月09日
マレーシア統計局は10月27日、2023年1~9月の貿易総額が前年同期比8.6%減の1兆9,418億リンギ(約60兆1,959億円、1リンギ=約31円)だったと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は1兆596億リンギ、輸入額は8,822億リンギで、伸び率はともに上半期に引き続きマイナスだった。貿易収支も5.7%減の1,773億リンギと前年同期を下回った。
輸出を品目別にみると、主要品目が軒並み前年同期を下回った。全体の4割強を占める電気・電子製品が4,350億リンギで、前年同期比0.6%減と微減だった(添付資料表2参照)。うち、同品目の半分を占めた集積回路が0.5%増の2,259億リンギと微増だった。次いで、精製石油製品が9.3%減の1,001億リンギ、パーム油・同製品が29.5%減の750億リンギ、液化天然ガス(LNG)が10.2%減の430億リンギ、専門・科学・制御機器および装置が2.4%減の373億リンギだった。
輸入では、電気・電子製品が前年同期比11.5%減の2,585億リンギ、精製石油製品が8.3%減の949億リンギ、原油が15.8%増の430億リンギ、特定産業・部品用の機械および装置が9.1%減の152億リンギ、トラクター・自動車などの部品および付属品が13.7%増の140億リンギと続いた。
国・地域別にみると、主要相手国向けの輸出も軒並み前年同期を下回った。首位のシンガポールが1.5%減の1,676億リンギだった(添付資料表3参照)。次いで中国(9.8%減の1,402億リンギ)、米国(3.6%減の1,195億リンギ)、香港(6.0%減の673億リンギ)、日本(12.1%減の643億リンギ)が続いた。
マレーシアの投資貿易産業省(MITI)によると、中国向けの輸出減は、電気・電子製品、鉄鋼製品、パーム油・同製品の出荷量減少が原因だった。米国向けでは、木材製品、ゴム製品、鉄鋼製品の輸出が減少した一方、電気・電子製品が輸出に寄与した。日本向けでは、液化天然ガスおよび石油製品の輸出が減少した。
輸入では、中国が前年同期比8.7%減の1,866億リンギで首位だった。シンガポールが1.9%増の1,048億リンギ、米国が15.5%減の633億リンギ、台湾が21.1%減の619億リンギ、日本が15.0%減の527億リンギと、シンガポールを除き前年同期を下回った。
なお、四半期ごとの輸出増減率をみると、各国・地域の寄与度が前期に続きマイナスだった。米国とEUを除き、主要国・地域のマイナス幅は拡大し、特にASEAN向けの落ち込みが大きかった(添付資料図参照)。
マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は、2023年通年の輸出伸び率予測を3.4%減から6.4%減、輸入を1.9%減から6.9%減に、5月時点に下方修正した見通しから8月時点にそれぞれ再び下方修正した。ただし、半導体需要の回復が牽引し電気・電子製品が好転すると見込まれることから、今後、輸出の減少幅は縮小すると予測している。そのほか、中国経済の継続的な回復が、地域の貿易拡大を下支えする重要な要素になると予測した。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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