繊維製品分野における生産連動型奨励制度(PLI)の2次公募期間延長

(インド)

ニューデリー発

2023年11月09日

インド繊維省は11月1日、繊維製品に関する生産連動型奨励策(PLI、注)の2次公募で、募集期間を12月31日まで再延長すると発表した。同省は繊維製品を対象とするPLIの2次募集を2023年7月18日から始めていた(2023年8月14日記事参照)が、産業界の要請を受け、2回目となる延長を決めた。

政府は同分野のPLIの補助金として、5年間で総額1,068億3,000万ルピー(約1,923億円、1ルピー=約1.8円)の予算を計上している。政府の投資誘致機関インベスト・インディアの発表によると、繊維省は現在までに64件の投資案件を承認しており、これら案件による新規投資見込み総額は1,979億8,000万ルピー、売上高見込み総額は1兆9,392億6,000万ルピー、新規雇用(見込み)は24万5,362人に上る。

繊維製品分野の対象品目は、(1)化学繊維(人造繊維)衣類、(2)同織物、(3)土木、農業、医療・衛生、防衛、自動車、航空機、スポーツ、建築などに用いる工業用繊維品となっており、官報(通知)、PLIのガイドラインの付属書に対象品目をリストアップしている。2年間の準備期間を経て2024年度から5年間適用し、投資、売上高、付加価値(原則国内で60%以上)の一定の基準を満たすことにより、年度ごとの売上高増加分(対前年度)に一定割合を掛けた額のインセンティブを付与する仕組みとなっている(インセンティブ額の上限あり)。前倒しで基準を達成できる場合、2023年度からの適用も可能としている。

投資規模に応じて2つのスキームがある。スキームパート1として、1年目に投資額30億ルピー以上と売上高60億ルピー以上を達成し、2年目以降は前年度比で25%以上の売上高の増加を達成した場合は、増加分の11~15%のインセンティブを5年間付与する。スキームパート2として、1年目に投資10億ルピー以上と売上高20億ルピー以上を達成し、2年目以降は前年度比で25%以上の売上高の増加を達成した場合は、増加分の7~11%のインセンティブを5年間付与する。

その他、承認事業者選定に当たっては、立地予定地(大都市よりも地方都市が有利)や新規雇用者数なども考慮する仕組みとなっている。

(注)「生産連動型奨励策(PLI)」は、インド政府が2020年度(2020年4月~2021年3月)に導入した国内製造業振興の目玉政策。対象となる全14分野について、分野ごとの適格基準を満たせば、新規工場を設立した製造業企業に対し、売上高の増加額などに応じてインセンティブ(補助金)を支給するスキーム。

(花村大樹)

(インド)

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