1~10月の港湾貨物取扱量は7.8%増、ロシア運輸フォーラムで技術力をアピール

(ロシア)

調査部欧州課

2023年11月30日

ロシア商業海港協会の発表(11月12日)によると、2023年1~10月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比7.8%増の7億4,930万トンだった(添付資料表参照)。11月14~16日にはロシア運輸フォーラムが開催され、登壇したミハイル・ミシュスチン首相は北極海航路について、最新技術を取り入れつつ整備を進めているとアピールした。

貨物取扱量を品目別で前年同期と比較すると、コンテナ貨物(9.1%増)、穀物(1.8倍)、鉱物質肥料(1.6倍)、原油(7.0%増)が大きく伸びた。一方で、鉄鋼(14.8%減)、鉱石(25.2%減)、石油製品(9.6%減)、液化ガス(4.1%減)が減少した。海港所在海域別では、アゾフ・黒海域が17.2%増、カスピ海域が36.1%増、極東海域が5.7%増だった。

10月単月でみると、ロシア海港の貨物取扱量は前年同月比1.6%減の7,400万トンとなった。海域別でみると、アゾフ・黒海域では前年同月比で5%増、極東海域では3%減となった。(「インフラ・ニュース」11月14日)。

ロシア政府が重要課題としている北極海航路の開発については、11月14日から16日までの3日間にわたってモスクワで開催され、3,700人以上(主催者発表)が参加したロシア運輸フォーラムでも話題に上がった。同イベントでは、主要な交通・インフラプロジェクトの実施に最適な条件の創出、国際競争への参加、交通・インフラ産業への投資の魅力などについて話し合われ、2日目の15日にはミシュスチン首相も演説を行い、ロシアにおける交通インフラの整備の重要性について説いた。演説の中では、原子力砕氷船団の拡大だけでなく、北極圏におけるより安全で快適な航行のために必要なデータやサービスを船主に提供するデジタル・エコシステムの導入も進めているとして、最新技術も導入しつつ北極海航路の整備に注力している姿勢をアピールした。

(後藤大輝)

(ロシア)

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