全米自動車労組(UAW)、9月29日からGMとフォードの2工場でストライキ拡大

(米国)

シカゴ発

2023年10月02日

全米自動車労働組合(UAW)ショーン・フェイン会長は9月29日、ソーシャルメディア上で、ゼネラルモーターズ(GM)とフォードの2つの組み立て工場で同日正午からストライキを拡大すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この発表直前に、ステランティスとの交渉では、主に生計費調整(注)について大きく進展があったため、ステランティスは今回のストライキ拡大の対象とはならなかった。これによって、GMのミシガン州ランシングの組み立て工場〔ビュイックのスポーツ用多目的車(SUV)エンクレイブ、シボレーのSUVトラバースを生産〕と、フォードのイリノイ州シカゴの組み立て工場(フォードのSUVエクスプローラー、リンカーンのSUVアビエーター、SUV型警察車両を生産)で、約7,000人の従業員が9月29日米東部時間の正午からストライキに参加した。9月15日のストライキ開始から今回のストライキ拡大までで、21州43カ所の約2万5,000人の「デトロイト3」のUAW組合員が参加することとなった。

UAWによるストライキ拡大の発表後、フォードは「UAWは、今後2~3年は稼働しないバッテリー工場を巡って契約を保留している」とし、「合意に達し、最悪の事態を回避する時間はまだあるが、供給基盤が脆弱(ぜいじゃく)なことを考えれば、それほど時間はない」と発表した。同社によると、ストライキ開始前の9月12日には、20%以上の賃上げ、従来の生計費調整、全米上位1%に入る質の良い医療保険、新旧の労働者を二分する賃金体系の廃止、充実した退職金拠出、休暇の拡大などを提案しており、それ以降も提案を改善し続けてきたという。

また、GMのグローバル製造担当のジェラルド・ジョンソン上級副社長は「9月21日にわれわれが提出した最新の提案に対して、UAW指導部から包括的な対案をまだ受け取っていない。これ以上のストライキは単なる新聞の見出しとなるだけで、真の前進とはならない」とし、「われわれの現在の提案は、私たちの将来を危険にさらすことなく、歴史的な賃上げと雇用の安定をもたらすことができる」と述べた。

(注)UAWの要求は、新たに雇用された労働者の賃金を低く設定する従業員を二分する給与体系の廃止、賃金をインフレ率と連動させる生計費調整(Cost of Living Adjustment, COLA)、4年間で30%(交渉開始時は40%、9月11日に36%)の昇給、電気自動車(EV)への移行に伴う雇用の確保など(2023年7月18日記事参照)。

(星野香織)

(米国)

ビジネス短信 ff9d46085ac8fea5