英政府、規制枠組みの詳細な見直しの実施を発表

(英国)

ロンドン発

2023年10月11日

英国政府は10月2日、規制枠組みの詳細な見直しを実施することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の見直しは、英国のEU離脱(ブレグジット)後の規制改革「スマーター・レギュレーション・プログラム」の一環。今後12週間の意見公募を通じ、規制当局の効率的な活動や経済成長および消費者保護に必要な改革の実施を確実に実現することを目指す。具体的には、規制の機敏性、バランス、予測可能性、アプローチの一貫性のほか、維持されたEU法を含む既存の法制改革に向けた今後の取り組みを検討する。

政府は、現状として英国に90の規制当局があり、企業や消費者団体などから、一貫性や明確な方向性の重要性を指摘する声が上がっているとした。また、規制当局が過度にリスクを回避する傾向にあり、手続きを重視してしまっているとの指摘もあった。

ビジネス・通商省が主導する「スマーター・レギュレーション・プログラム」は、ブレグジットを機に不要かつ負担の大きい「維持されたEU法(retained EU law)」(注)を撤廃すると同時に、幅広い規制の見直しを行い、目的に沿ったものにし、英国の利益につながる枠組みを構築することを目的としている。その上で政府は、次の3つの柱を掲げている。

  • 規制負担を最小化し、規制が現代的で将来を見据えたものであることを保証するために、既存の規制を改革すること。これには、維持されたEU法を含む広範な国内規制の改革が含まれる。
  • 規制を第1の選択肢とするのではなく、最後の手段とすること。有益であれば、規制に代わる手段の活用も含まれる。
  • 十分に機能する規制環境を確保する。

同プログラムの一環として、ガス・電力市場局(Ofgem)、水道事業規制局(Ofwat)、情報通信庁(Ofcom)に関する意見公募が行われていた。また、製品安全規制に関する意見公募も10月24日まで実施中外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、スマートウォッチなどのIoT(モノのインターネット)デバイス、人工知能(AI)などの製品安全に関する枠組みや、電子ラベルの導入などの措置について検討するとしている。

(注)EU離脱の移行期間終了時に、英国法にそのまま置き換えられた、英国の法体系に直接組み込まれていたEU法。

(松丸晴香)

(英国)

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