東風汽車、ステランティスの生産拠点を買収
(中国)
武漢発
2023年10月26日
中国自動車メーカー大手の東風汽車集団(本部:湖北省武漢市)は10月19日、神龍汽車(本部:湖北省武漢市)が武漢市と襄陽市に持つ一部資産(特定土地使用権、建物や構造物)を買収すると発表した。神龍汽車は、東風汽車集団と多国籍の自動車メーカーのステランティスが出資する合弁会社。東風汽車が買収する上記資産には、同社が生産する3車種の標緻(プジョー)、雪鉄龍(シトロエン)、富康の拠点が含まれており、買収額は17億1,400万元(約351億3,700万円、1元=約20.5円)となっている。
神龍汽車に対する管理体制や、東風汽車集団とステランティスの株式保有率(注)に変更はなく、東風汽車集団とステランティスは2019年に署名した戦略的協力協定を引き続き履行していくとしている。また、買収した資産については、東風汽車集団と神龍汽車が10年のリース契約を交わしており、上記車種の生産は引き続き行われる。
ステランティスの執行委員会構成員兼中国エリアの最高執行責任者(COO)で、神龍汽車の副董事長でもあるグレゴワール・オリビエ氏はビデオインタビューで「東風汽車集団と協力して、神龍汽車による中国市場でのプジョー、シトロエン、富康の生産を継続するとともに、同社の完成車や部品の輸出業務の拡大を支援する」と述べた。
神龍汽車は2022年に過去最高となる3万7,000台(前年比2.8倍)を輸出しているのに加え、今後はさらに多くの輸出プロジェクトを開始するとしている。
NEV生産を加速する東風汽車集団
2022年に湖北省で最も高い売上高を記録した東風汽車集団(2023年9月27日記事参照)は近年、新エネルギー車(NEV)生産を積極的に加速する取り組みを進めている。2022年には東風汽車集団の乗用車部門である東風乗用車の第2工場が稼働したほか、ホンダとその中国現地法人の本田技研工業(中国)投資と東風汽車集団の合弁会社の東風本田汽車が電気自動車(EV)専用の新工場を建設しており、2024年の稼働開始を目指している(2022年11月11日記事参照)。
(注)神龍汽車の株式は、東風汽車集団とステランティスが50%ずつ株式を保有している。
(楢橋広基)
(中国)
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