米ホワイトハウス、政権発足以来のクリーンエネルギー投資・雇用増に係る成果を公表

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月24日

米国ホワイトハウスは10月23日、バイデン政権によるクリーンエネルギー関連の投資や雇用に関する成果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、バイデン政権が発足した2021年1月から2023年8月までに、民間企業が発表したクリーン発電関連のプロジェクトは合計約94ギガワット分に上り、その投資額は合計約1,330億ドルに相当する。内訳は太陽光発電関連で約700億ドル、バッテリー(蓄電池)関連で約400億ドル、風力発電で約200億ドル、原子力発電および水力発電で約30億ドルとなっている(添付資料図1参照)。

雇用については、2021年1月から2023年3月までの間に、発電部門と送配電部門で2万1,000人分の新規雇用を創出した(注)。過去10年間、これらの部門の新規雇用者数の増加ペースはおおむね下方トレンドをたどってきたが、直近2年間は明確な上方トレンドに転じている。特に、このうち1万人程度はインフレ削減法(IRA)とCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)成立後の2022年8月から2023年3月までの7カ月間に創出されたものと発表している(添付資料図2参照)。

発送電のみならず、建設業や製造業など周辺部門まで含めると、クリーンエネルギー関連の新規雇用者数は2022年単年で11万4,000件(前年比3.9%増)となっている。男女別の内訳では、女性の労働参加率の上昇やエネルギー関連の専門サービス・ビジネスサービスの伸びを受けて、新規雇用者数の半分以上が女性となっている。また、地域別にみると、全米50州全てでクリーンエネルギーの雇用が増加しており、中でもウェストバージニア州(19.3%増)、オクラホマ州(9.1%増)、ニューメキシコ州(9.1%増)がクリーンエネルギー関連の雇用増を牽引した。

また、ホワイトハウスによると、こうした新規雇用者数の増加に労働組合が大きな役割を果たしている。特に、熟練労働者の確保に関しては、労働組合を組織している雇用主はそうでない雇用主と比べて大幅に有利だとしている。米国のエネルギープロジェクトの中には、労働組合の協力の下で労働力開発に取り組んでいる事例も報告されており(2023年10月19日記事参照)、これは登録アプレンティスシップ(RAP)制度(実習プログラム)への投資によって熟練労働者を継続的に確保できるパイプラインができていることが要因ではないかと分析している。

(注)雇用増分のセクター別内訳は、送配電部門で1万1,000人、太陽光発電で8,000人、風力発電で2,000人、水力発電で1,000人。なお、雇用が減少したセクターもあるため、これらの合計が新規雇用創出分とは必ずしも一致しない。

(加藤翔一)

(米国)

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