バイデン米大統領がイスラエル訪問、ガザへの人道支援を表明

(米国、イスラエル、ヨルダン)

ニューヨーク発

2023年10月19日

米国のジョー・バイデン大統領は10月18日、イスラエルのテルアビブを訪問し、同国のベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。ホワイトハウスの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによる攻撃に対応するためのイスラエルの戦略について包括的な議論を行った。バイデン大統領はイスラエルへの揺るぎない支持をあらためて表明し、イスラエル政府が国民を守るために必要なものを提供するという米国の決意を再確認した。両首脳はまた、米国人を含むハマスによって連れ去られた人質を解放するための取り組みや、ガザ市民に必要な人道支援を提供するための米国の取り組みについても協議した。バイデン大統領のイスラエル訪問には、中東・アフリカ諸国歴訪中のアントニー・ブリンケン国務長官も同行した(2023年10月17日記事参照)。

バイデン大統領はテルアビブで演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「米国はイスラエルとともにある」と述べ、同国への連帯を示し、「今週に米国連邦議会にイスラエル防衛のための前例のない支援パッケージを要請する」と表明した。一方、イスラエル政府に対しては、ガザ市民への人道支援提供に同意するよう求めたとし、イスラエルは、援助はハマスではなく一般市民に届けられるべきとの理解に基づいて、エジプトからガザへの人道支援の開始を承諾したと明らかにした。また、ガザとヨルダン川西岸における人道支援のために、米国が新たに1億ドルの資金を拠出すると発表した。

イスラエル支援に関し、バイデン政権は連邦議会にウクライナ支援や国境警備などの予算と合わせて、少なくとも1,000億ドルの追加予算を求めることを検討しているもようだ(政治専門紙「ポリティコ」10月17日)。上院トップのチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)は10月17日、軍事支援を含む強力なイスラエル支援策を可能な限り早く策定すると言明した。上院が迅速に動くことで、議長不在の下院に行動を促す意向だ。下院の共和党議員の中には、イスラエル支援とウクライナ支援をひもづけることに反対する声があるが、上院のミッチ・マコーネル少数党院内総務(共和党、ケンタッキー州)は前向きな姿勢を示している(パンチボウルニュース10月18日)。

なお、バイデン大統領はイスラエル訪問後、ヨルダンで同国のアブドゥッラー2世国王、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領、パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長と会う予定だった。しかし、10月17日にガザで起きた病院の爆発を受け、ヨルダン訪問は延期された。

(甲斐野裕之)

(米国、イスラエル、ヨルダン)

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