ブリンケン米国務長官が中東・アフリカ諸国歴訪、バイデン大統領のイスラエル訪問も発表

(米国、イスラエル、ヨルダン、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、中国)

ニューヨーク発

2023年10月17日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は10月11~16日、イスラエルを含む中東・アフリカ諸国を歴訪した。12日にはイスラエルのテルアビブで、同国のアイザック・ヘルツォーク大統領、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とそれぞれ会談した。パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル攻撃を巡り、ブリンケン長官はネタニヤフ首相との会談後に行った会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「米国は常にイスラエルの側にいる」と述べ、同国への支持を表明した。イスラエルの自衛権を擁護しつつ、「民間人への危害を避けるためにあらゆる予防措置を講じることが重要だ」とも指摘した。また、米連邦議会と協力してイスラエルの防衛ニーズが満たされるよう支援に取り組む意向を示した。

ブリンケン長官はイスラエル訪問後、ヨルダン、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、エジプトを訪れ、各国の首脳らと、イスラエルとハマスの衝突を巡って協議した。ヨルダンではパレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長とも会談した。同長官は各会談で、ハマスによる人質解放や武力衝突の拡大阻止、ガザ市民への人道支援について議論した。長官は16日にはイスラエルに戻り、ヘルツォーク大統領、ネタニヤフ首相と再び会談した。

中東・アフリカ諸国歴訪日程の中で、ブリンケン長官は14日、中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)とも電話協議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同長官はイスラエルの自衛権に対する米国の支持をあらためて表明し、ハマスによる攻撃の即時停止と全ての人質の解放を訴えた。国務省報道官によると、長官は中国政府に対し、ほかの国家や非国家主体がイスラエルを攻撃し、武力衝突を拡大させないよう、中東への影響力を行使するよう要請した(ブルームバーグ10月14日)。

また、ホワイトハウスは16日、ジョー・バイデン大統領がイスラエルへの確固たる支援を表明するため、18日に同国を訪問すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ホワイトハウスによる正式発表の直前に、ブリンケン長官がメディアに明らかにしていた(政治専門誌「ザ・ヒル」10月16日)。バイデン大統領はその後、ヨルダンも訪問する。

なお、米国によるイスラエルへの支援を巡っては、イスラエルを訪問した連邦議会上院トップのチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)が10月15日、上院の関係委員会にバイデン政権と協力して支援パッケージをまとめるよう指示すると表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ホワイトハウスと共和党の一部議員の間には、イスラエル支援とウクライナ支援のための予算を1つにまとめる案があるとされる。ただし、下院の共和党議員から反対する声が上がっており、議論の行方は見通せない(パンチボウルニュース10月10日)。

(甲斐野裕之)

(米国、イスラエル、ヨルダン、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、中国)

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