国民の経済意識調査、悲観的な回答が目立つ
(スリランカ)
コロンボ発
2023年10月06日
スリランカのシンクタンク「センター・フォー・ポリシー・オルタナティブズ(CPA)」は9月15日、同国民の経済認識に関するレポート「経済改革インデックス第2波」を発表した。CPAは2023年8月21~29日に、スリランカの男女1,000人を対象にアンケート調査を実施した。本レポートは、2022年10月に続くCPAによる2回目の経済改革に関する調査となる。
主な調査結果は、次のとおり。
〇ほぼ1年前の2022年10月時点と2023年8月時点での経済状況を比較すると、「悪化した」という回答が今回は62.4%で、前回の79.1%から減少した。他方、今回の結果は都市部では「悪化した」という回答が80.9%となり、農村部の58.4%より高かった。
〇1年後の経済の見通しについて、39.2%が「悪化する」、26.3%が「変わらない」と答え、「改善する」という回答は16.0%にとどまった。都市部では46.2%が「悪化する」と回答し、農村部の37.8%を上回った。
〇IMFの金融支援パッケージ(2023年3月22日記事参照)による、2022年春以降に発生したスリランカの経済危機の克服について、46.1%が「かなり信頼できる」「ある程度信頼できる」と回答し、43.1%の「信頼できない」を上回った。
〇経済危機の克服に向けた国際的な支援が期待できる国として、37.7%が中国、22.3%がインド、18.5%が日本、16.0%が米国、3.0%がロシアを挙げた。
〇ラニル・ウィクラマシンハ大統領による経済危機の解決に関して、51.6%が「信頼できない」と答え、「非常に信頼できる」「ある程度信頼できる」という回答は42.1%にとどまった。
〇消費の余力に関して、「支出ができない、または非常に困難である」項目としては、余暇活動(61.6%)、電気代(39.3%)、子供の教育費(34.9%)、健康関連費(29.8%)、食費(24.6%)の順に高かった。
〇「機会があればスリランカを離れて他国に住みたい」という回答は67.7%で、前回の56.8%から増加した。18歳から29歳では前回の77.2%から82.1%に、30歳以上では前回の45.4%から58.7%に、それぞれ移住に意欲的な回答が増加した。
〇IMFの金融支援パッケージの一環として実施される、国債の満期延長などによる「国内債務最適化(Domestic Debt Optimisation:DDO)プログラム」について、「知っている」という回答は30.5%にとどまった。また、「知っている」との回答のうち、69.8%は「国内債務最適化がIMFとの協定で定められた目標をスリランカが満たす上で不可欠だ」という回答だった。
〇低所得者層向け福祉給付金の「アスウェスマ・プログラム(Aswesuma Programme)」について、83.1%が「知っている」と回答。農村部で84.7%が「知っている」と回答し、都市部の76.0%を上回った。
〇7月に国会で成立した汚職防止法について、「知らない」という回答が70.0%に上った。「知っている」という回答でも、うち56.4%が「汚職防止法は汚職の減少につながらない」という回答だった。
〇スリランカの自由主義経済政策について、54.1%が「貿易の増加のようにすべての人の利益となるため、政府は外国企業の投資を認めるべきだ」と答え、「外国企業は国民から搾取するため、政府は外国企業の投資を認めるべきでない」との32.2%を上回った。また、「市民の所得格差を減らすため、政府は所得制限を課すべき」という回答は22.0%にとどまり、70.0%は「政府は個人の所得に制限を課すべきではない」と回答した。さらに、「企業経営は政府の責務ではないため、政府系企業は民営化されるべきだ」という回答は32.7%にとどまり、54.0%は「政府系企業は国の発展に必要なので、民営化されるべきではない」と答えた。
〇「政府支出を減らすために政府職員の数を減らすべきだ」という回答が51.0%に上った一方、「国民の面倒をみて、福祉事業に支出するのは政府の責任である」という回答が63.9%に達した。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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