成都市で認知症友好モデル社区が発足、日系企業も参画

(中国)

成都発

2023年10月10日

中国成都市成華区の白蓮池街道が9月20日、四川省初の「認知症高齢者のための友好社区」として正式に運営を開始した(注1)。成都市民政局は2023年、市内複数の社区で拠点設置を進めている。成華区民生局などが関係団体などに配布している「成都市認知症高齢者友好社区建設指導手帳(試行)」によると、当該社区は市内各地の介護施設の中核として、近隣住民の認知症への理解度向上を目的に設置される。また「早期発見、早期診断、早期治療」を徹底し、認知症患者の症状改善に向けた環境整備を進めるとしている。「成都新聞」(9月22日)は、2023年内に市内26カ所で認知症高齢者のための友好社区を設置すると公表した。

設置が進んでいる認知症高齢者のための友好社区の1拠点を管理するのは、メディカル・ケア・サービス(MCS、本社:埼玉県さいたま市中央区、注2)が成都市内に開設した認知症専門介護施設「ケアホーム楓樹苑」だ。同施設が担当する認知症高齢者のための友好社区では、9月から11月にかけて2,000人以上の認知症診断を実施した。認知症の早期発見(65歳以上が対象)、患者の希望に沿った認知症ケアなどを提案している。また、認知症に関する正しい知識を広めるために、認知症の基礎講座を10月から16カ月間、月1回開催している。そのほかにも、軽度認知障害(MCI)または認知症の予防が必要な対象者の120人以上に対して「認知症予防教室(12月から週3回開催予定)」への参加を促した。老人ホームの入居者と社区住民の交流を図るカフェの開業企画や在宅介護支援などの予防・介護サービスも提供することで、社区内の認知症対策も行っている。

「ケアホーム楓樹苑」の管理責任者MCSの田草川孝洋氏は「日本の先進的な認知症介護のノウハウを中国にも広めていきたい。近年、中国でも開始された介護保険制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや、中国で急速に発展する人工知能(AI)などのスマート技術を活用し、中国での認知症施策・介護事業をさらに展開していきたい」と述べた。

写真 ケアホーム楓樹苑内の生活スペース(ジェトロ撮影)

ケアホーム楓樹苑内の生活スペース(ジェトロ撮影)

写真 同苑内の個室(ジェトロ撮影)

同苑内の個室(ジェトロ撮影)

写真 同苑内のレクリエーション・コミュニティー・ルーム(ジェトロ撮影)

同苑内のレクリエーション・コミュニティー・ルーム(ジェトロ撮影)

(注1)中国で街道は郷級行政区を指す。各街道で構成する居民委員会は、都市基層政府の街道弁事処によって管理され、社区を管轄している。

(注2)学研ホールディングス傘下。中国の複数都市で介護施設を展開。成都の国営企業の成都医療健康投資集団と共同で、2022年3月に高齢者向け施設「舒養之家・海桐苑」を開設。「ケアホーム楓樹苑」は2023年2月に開設。

(潘華臻)

(中国)

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