9月の消費者物価上昇率は前年同月比0.3%

(タイ)

バンコク発

2023年10月16日

タイ商務省が10月5日に発表した2023年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で0.3%となり、前月(0.88%)から減速した。政府によるエネルギー価格の抑制措置、食料価格の低下などが要因となった。

振れ幅の大きいエネルギーと生鮮食品を除くコア指数については0.63%上昇と前月(0.79%)から伸びが鈍化し、2023年1月から9カ月連続の縮小となった。

食品・非アルコール飲料はマイナス0.1%(8月0.74%)で、23カ月ぶりの減少になった。非食品も0.59%(同0.98%)と減速した。品目別の上昇率では、食肉・魚マイナス6.37%(同マイナス6.06%)、生鮮野菜マイナス3.93%(同1.45%)、総菜1.33%(同1.76%)、軽油マイナス6.66%(同マイナス5.95%)など。

また、第3四半期のCPI上昇率は前年同期比0.52%、1月から9月におけるCPI上昇率は前年同期比1.82%となった。

商務省によれば、第4四半期のCPI上昇率は前期から鈍化すると見込んでいる。食肉、魚などの価格の継続的な低下、政府による電気料金、燃料代の抑制措置、政策金利の引き上げや前年同期のCPI上昇率が高いことによる反動などがCPI上昇率の減速要因になりうるとした。一方で、観光業の回復による国内需要の高まり、農家やワーカーの平均収入の上昇、エネルギー産業の供給の引き締まり、エルニーニョ現象による農産品の価格上昇や通貨バーツ安がインフレ要因になる可能性もある。

なお、商務省は2023年通年のCPI上昇率予測を1.0~1.7%(中央値1.35)とし、前回予測の1.0%~2.0%(中央値1.5%)から下方修正した。

(藤田豊)

(タイ)

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