北米国際自動車ショー、大型EVやスタートアップに注目

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月03日

北米国際自動車ショー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(NAIAS、通称:デトロイトオートショー)が9月13~24日、米国の自動車産業の集積地ミシガン州デトロイトで開催された。主催者はデトロイト自動車販売店協会(DADA)。

今回は自動車メーカーや地域のディーラーなどが35ブランドの車両を展示した。ただし、日系、欧州メーカーなど一部が参加を見合わせ、2019年に比べると展示スペースは大幅に縮小された(添付資料図参照)。

電気自動車(EV)に関しては、新型車の発表がない中で、ゼネラルモーターズ(GM)が高級車ブランドとして展開しているキャデラックのバッテリー式電気自動車(BEV)のスポーツ用多目的車(SUV)「エスカレードIQ」や、同社のピックアップトラック・SUVなどのブランドGMCのSUV「シエラ」、SUVとピックアップトラック「ハマー」といった大型EVが注目された。日系自動車メーカーに関しては、トヨタがブースを構えたものの、日産、スバルなどは不参加だった。ホンダは在米のディーラーが展示に参加するにとどまった。空きスペースには、2015年以来初のNAIAS参加となるテスラや、フォルクスワーゲン(VW)、シボレー、キャデラック、GMC、フォード、BMWの試乗コーナーが設置された。

写真 キャデラックのSUV「エスカレード」(ジェトロ撮影)

キャデラックのSUV「エスカレード」(ジェトロ撮影)

一方で、比較的にぎわいを見せていたのがスタートアップや、サプライヤーなどの展示エリアとしてメイン会場に隣接して設けられた「AutoMobili-D」セクションだった。中でもEV普及の障壁となっている充電器に関しては、複数のスタートアップが問題解決に向けて取り組んでおり、注目を集めた。

例を挙げると、カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くポータブル充電器のサービスプロバイダーのエレクトラン。同社は停電など緊急用に開発されたフリート向けのポータブル急速充電器(DCFC)の出張サービスを提供する。現在はサンフランシスコなどベイエリアを中心に、サブスクリプションでの事業展開に向け、試験を行っている最中だ。また、ミシガン州交通局やデトロイト市などが道路に充電器を埋め込み、走行中の充電を可能とする全米初の公共でのワイヤレスEV充電道路プロジェクトの進捗を披露した。同プロジェクトは、イスラエルに本社を置くワイヤレス充電器メーカーのエレクトレオンが開発からパイロットプログラムまでを担う。同社担当者によると、2023年末にかけてデトロイト市内のモビリティーイノベーションハブの中央駅の一部で運用が開始するという。そのほか、オンラインでの公共充電器予約ソフトを開発するゴー・トゥー・ユーや、家庭用自動ロボットを開発するオートボルテックなど充電器関連ビジネスでの展開が期待される。

(大原典子)

(米国)

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