中国日本商会アンケート、約4割の企業が業況悪化と回答

(中国、日本)

北京発

2023年10月17日

在中国日系企業などで構成する中国日本商会は10月12日、景気・事業環境認識アンケートの結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同調査は在中国日本企業約8,300を対象に、9月8日から9月22日にかけて実施され、1,410の有効回答を得た(注1)。

同調査では、前期比で見た今四半期の企業の業況見通しについて、「悪化」「やや悪化」と予想した回答が約4割で、引き続き厳しい状況にあるとの認識を示した(注2)。一方で「改善」「やや改善」と予想した回答が約2割だった。また、中国国内の景況見通しについては、「悪化」「やや悪化」の回答が約6割だった。

2023年の投資額について、「今年は投資をしない」「前年より投資額を減らす」の回答は約5割だった。一方で「前年同額」の回答も約4割あり、景況認識が厳しい中でも中国でビジネスを継続しようとする在中国日本企業は多いと見られる(注3)。

事業環境の満足度については、「非常に満足」「満足」の回答と「非常に改善してほしい」「改善してほしい」の回答数が同程度となった。改善してほしい具体的な内容として、「水産品はじめ、日本産食品の販売環境改善」「訪中ビザ手続きの簡素化と不要化」「外資に対する規制の強まり」などが挙げられている。

国内企業と比較した場合の政府の政策や執行措置の恩恵について、国内企業と「同等に扱われている」との回答は約7割だった。一方で「国内企業と同等に扱われていない」とした企業が「同等に扱われていない」と思う分野として、「規制執行」「政府の財政支援・補助金(研究開発支援、投入コストなど)」の回答が多かった(注4)。

さらに、事業経営の課題として、製造業では「人件費の上昇」の回答が66%で最も多く、「販売価格の下落による影響」が60%で続いた。非製造業では「国際情勢の影響」が72%で最も多く、次いで「人件費の上昇」が65%だった(注5)。

同調査は、中国日本商会が在中国日本企業の景況感を初めて調べるもので、今後四半期ごとにアンケートを実施する予定としている。

(注1)有効回答1,410のうち、製造業が871、非製造業が539。

(注2)9月22日現在の売り上げと営業利益については、前期比で「低下」「やや低下」の回答がいずれも約5割となった。販売価格の動向については、「低下」「やや低下」の回答が約4割だった。

(注3)「今年は投資しない」「投資額を減らす」理由として、「本社における中国への投資リスク懸念」「大陸の需要および海外の需要は低迷し、さらに原料の相場も高くなり、販路拡大には難航になると推測」「データ越境の規制により、市場の不確実性が高くなったため」などが指摘されている。

(注4)中国国内で補助金・優遇を受けたことがあるという回答は、製造業は約5割だった一方、非製造業は約3割だった。

(注5)その他に回答が多かった経営課題としては、「市場需要に合った製品を提供できていない」「生産、供給体制の見直し」「データ越境など、新規制度への対応コスト増、リソース確保」「デジタル化による業務の効率化」などが挙げられている。

(張敏)

(中国、日本)

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