米テキサス州メキシコ湾岸水素ハブ、バイデン政権の7つの水素ハブの1つに選定

(米国)

ヒューストン発

2023年10月16日

米国バイデン政権が10月13日に発表した米国内7カ所の水素ハブ(2023年10月16日記事参照)のうちの1つに、テキサス州のメキシコ湾岸水素ハブ(HyVelocity Hydrogen Hub)が選定された。

メキシコ湾岸水素ハブには、最大12億ドルが提供される。同ハブはハイ・ベロシティー(HyVelocity、本部:テキサス州ヒューストン)を主体として、かねて「世界のエネルギー首都」と呼ばれるテキサス州ヒューストンを中心としたメキシコ湾岸地域が開発対象となる。ハイ・ベロシティーは、GTIエナジー(本社:イリノイ州デス・プレーンズ)を代表として、三菱パワーアメリカ(本社:フロリダ州レイクメアリー)を含む7社(注)のコアパートナー、テキサス大学オースティン校、センター・フォー・ヒューストンズ・フューチャー、ヒューストン・アドバンスド・リサーチ・センターなどによって構成される。

メキシコ湾岸地域は、総距離1,000マイル(1,609キロ)以上の水素専用パイプライン、48の水素製造プラント、多数の水素利用施設が存在するなど、米国の水素インフラ・水素利用の中心となっている。ハイ・ベロシティーによると、既存の設備やメキシコ湾岸地域の豊富な天然ガス、再生可能エネルギーの供給を利用し、天然ガスを改質して水素を製造しつつ、改質に際して発生する二酸化炭素(CO2)を回収・貯留(CCS)するほか、再生可能エネルギー由来の電力による水の電気分解による水素の製造などを計画しており、これら大規模な水素の製造によるコスト低減を目指すとしている。また、今後4万5,000人の雇用(3万5,000人の建設関連雇用、1万人の継続雇用)が見込まれるとしている。

テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は「この歴史的な投資は、エネルギーや水素製造でリーダーとしてのテキサス州の地位をさらに強固にするものだ」「テキサス州より米国のエネルギー生産に適した土地はない」と述べた。

ヒューストン市のシルベスター・ターナー市長(民主党)は「ヒューストンは、経済成長と雇用創出に寄与するクリーン水素ハブをリードする立場にある。このプロジェクトは米国はもとより、世界全体のクリーン水素経済の拡大、脱炭素化の実現に寄与するだろう」と述べた。

(注)AES(本社:バージニア州アーリントン)、エア・リキード(本社:フランス・パリ)、シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)、エクソンモービル(本社:テキサス州スプリング)、三菱パワーアメリカ、オルステッド(本社:デンマーク・フレゼリシア)、センプラ・インフラストラクチャー(本社:カリフォルニア州サンディエゴ)

(深石晃)

(米国)

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