米国輸出支援プラットフォームが「水産部会」を設置、日本産水産物の輸出を促進

(米国、日本)

ロサンゼルス発

2023年10月10日

ジェトロと在ロサンゼルス日本総領事館は10月1日、米国輸出支援プラットフォーム協議会(2022年10月6日記事参照)の「水産部会」を設置した。今回の設置は、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の放出に伴い、一部の国・地域が日本産水産物などの輸入規制を強化したことを受けたもの(注)。この「水産部会」については、9月に開催した情報交換会などにおいて、ジェトロと日本食普及の覚書を締結した米国日系レストラン協会、日本食文化振興協会、日系食品メーカーの親睦団体である七味会(2022年4月28日記事参照)、料理学校Sushi Chef Institute、日系水産商社などから出された意見に基づき(2023年9月8日記事参照)、今後の取り組むべき方向性について検討が進められてきた。

日系水産商社からは、日本産ホタテを既に利用している層でのさらなる拡大を図るばかりでなく、これまで日本産ホタテを活用してこなかった新規市場を開拓する必要性が指摘された。また、これまで中国や香港向けに水産物を輸出してきた日本の事業者の中には、米国やEUに輸出するために必要な規制への対応ができていない事業者もいるため、それらを支援することで、輸出先国・地域を多角化することが可能となるという意見があった。

別の水産商社は、これまで日本産ホタテは日本国内での水揚げ後両貝のままで中国や香港に輸出され、加工処理ののちに米国に再輸出されるケースが多かったが、輸入規制の強化に伴いこのビジネスモデルが成立しなくなったとした。また今後は、高品質な日本産ホタテを海外にPRするためには日本の国内産地と連携した取り組みが必要となるとの意見も出された。

ジェトロではこうした意見を踏まえ、規制対応や食品見本市における日本産水産物の商談機会の創出やさまざまな機会をとらえたPRを行うとともに、米国における販売促進にあたっての具体的な戦略を策定する。加えて、日本産水産物を含む日本産食材を一体的に販売する「常設型アンテナショップ」のロサンゼルスへの設置を進める。

(注)ALPS処理水の海洋放出に伴う各国の反応は、ジェトロのウェブサイトで確認可能。

(木村恒太)

(米国、日本)

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