MIDAが11月から審査料・発行手数料を導入、公文書の全面マレー語化も

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年10月27日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は10月9日、各種申請にかかる審査料および発行手数料を導入すると発表した(MIDAウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。手続きの効率性を高め、より良いサービスを提供する取り組みの一環として、11月6日から段階的に適用する。MIDAは、申請プロセスの合理化、サービスの長期的な持続可能性の維持、ITインフラの維持などデジタル化の推進、高いサービス水準の維持、手続きの効率化、将来的なシステム高度化への投資、といった目的で審査料と発行手数料を導入すると説明し、投資家の理解を求めた。

MIDAの解説資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、「審査料」は以下の各種申請に対し課される。(1)輸入税および売上税の減免措置(700~2,000リンギ)(約2万2,000~6万3,000円、1リンギ=約31.5円)、(2)各種インセンティブ(新規や拡張は2,500リンギ、変更は2,000リンギ)、(3)製造業ライセンス(新規や拡張は1,500リンギ、変更は750リンギ)、(4)製造業ライセンスの免除確認書(1,000リンギ)。

また、「発行手数料」については、(1)駐在員事務所の申請(新規は5,000リンギ、更新は1万リンギ)、(2)年次コンプライアンス報告書(2,000リンギ)、(3)駐在員の就労枠認可書など各種認可の証明書(500リンギ)、(4)製造業ライセンスの複製(1回目2,000リンギ、2回目3,000リンギ、3回目5,000リンギ)、(5)MIDAの各種サポートレター(500~3,000リンギ)に課される。

審査手数料と発行手数料ともいかなる除外措置もなく、またMIDAが申請を却下した場合や申請を自ら取り下げた場合も、費用の返金はされない。本件に関する照会は、MIDAカスタマーサービス(+603-22673633)またはInvest Malaysia外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますポータルで受け付ける。

首相は公文書でのマレー語使用徹底に言及

関連して10月25日、アンワル・イブラヒム首相は、公共部門におけるマレー語使用を促進すべく、マレー語以外の書簡は受理しないよう、政府機関に要請した。マレーシア憲法152条は、国語をマレー語と規定している。また、2022年8月9日付の首相府傘下の公共サービス局による人事サービス通達(PO.1.1.1)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(マレー語のみ)は、「各省庁の責任者は、公務、公式書簡、内務外務における合意文書でマレー語を適切に使用する必要がある」「外交を含む公文書はマレー語で送受信する」とも定めている。こうした公文書に、上記MIDAの各種申請なども含まれる場合、企業の手続きコストは拡大する恐れがある。他方、同通達は、マレー語の専門知識がない国との間で公式書簡に英訳を添付することや、円滑な公共サービス提供の観点から、法的必要条件の順守など特定の状況で英語を使用することは可能としている。

「言語・コミュニケーションの容易さ」が、マレーシアのビジネス環境上の大きなメリットと捉えられる(2022年度海外進出日系企業実態調査PDFファイル(1.7MB))だけに、今回の要請が、投資障壁になりかねないことが懸念される。なお、東マレーシア・サラワク州のアブ・バカー・マーズキ州務長官は10月26日、サラワク州としてはアンワル首相の指示に従うつもりはなく、英語を継続的に利用すると明言した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

ビジネス短信 bf5af4c6f6ee0ffc