CPI上昇率は微増、民間銀行は利上げで資金調達環境も悪化
(ケニア)
ナイロビ発
2023年10月16日
ケニア国家統計局は9月29日、2023年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率を前年同月比6.8%と発表した。8月の6.7%(2023年9月14日記事参照)から微増となり、交通(13.0%)、食料・飲料(7.9%)、住宅・水・電気・ガス(6.3%)など多くの項目で、引き続き高い物価上昇が続いている。食料価格については、主食のメイズが豊作で価格が下がりつつあるものの、ジャバイモやキャベツ、ケールの値段高騰で相殺され、食料・飲料は前月比0.7%増となった。
ケニア中央銀行は10月3日の金融政策委員会において、政策金利を10.5%で維持することを決定した。中央銀行は、CPI上昇率が中央銀行の定める2.5~7.5%のターゲットレンジに収まっていることや、食料と燃料以外の項目のCPI上昇率が8月、9月ともに3.7%と低水準に収まっていることから、政策金利を据え置くことにしたとしている。
ケニアのスタンビック銀行が10月4日に発表した9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月比で2.8ポイント減の47.8になった。8月に2022年1月以降で初めてPMIが景気拡大と悪化の分岐点となる50を上回った(2023年9月14日記事参照)ものの、9月のPMIは再び50を割り込んだ。生産、新規発注ともに減少し、雇用と在庫も7カ月ぶりの減少に転じた。セクター別では、製造業の生産が大きく落ち込んだほか、サービス、卸・小売り、建設も縮小した一方、農業は微量ながら生産、新規発注ともに増加した。
通貨ケニア・シリングの下落基調は変わらず、10月12日のケニア中央銀行の為替レート(中央値)は1ドル=149.01シリングと、前月同日から1.8%ほど下落した。ケニアの民間銀行大手のNCBAは、マクロ経済状況や利上げ動向を踏まえ、11月8日からシリング建てのベース貸出利率を13.0%から14.5%に、ドル建てを10.5%から11%に引き上げることを顧客に通知した。企業の資金調達も一層厳しい状況に置かれている。
(佐藤丈治)
(ケニア)
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