8月の消費者物価上昇率は減速するも、経済は厳しい状況が続く

(ケニア)

ナイロビ発

2023年09月14日

ケニア国家統計局は831日、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを前年同月比で6.7%と発表した。前月より0.6ポイント減少し、20224月ぶりの低水準となった。全項目の約33%を占める食料・飲料の物価上昇率が全体としては7.5%に減速したことが大きな要因だが、食料・飲料の中でも、砂糖(前年同月比61.4%増)や豆類(同27.9%増)は高い水準が続いている。

その他の項目別の上位を占める住宅・水・電力・ガスは7.5%、交通費は13.1%と、引き続き高い物価上昇が続いている。電力料金も200キロワット時(kWh)当たりで6,505.94シリング(同48.8%増、約6,506円、1シリング=約1円)、50kWh当たりで1,344.00シリング(同68.7%増)と価格の上昇は続いている。

ケニアのスタンビック銀行が95日に発表した8月の製造業購買担当者景気指数PMI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前月比で5.1ポイント増の50.6になった。景気拡大と悪化の分岐点となる50を上回ったのは20221月以降で初めて。デモの減少など政治的安定性の改善により、サービスと製造業の両方で生産が回復、新規受注はやや改善した。輸出は6カ月連続で拡大した。

一方、通貨ケニア・シリングの下落基調は変わらず、97日のケニア中央銀行の為替レート(中央値)は1ドル=146.04シリングと、先月同日から2.1%ほど下落した。高インフレやPMIは改善しつつあるが、スタンビック銀行のエコノミストのクリストファー・レギリショ氏は「2023年度財政法(2023911日記事参照)の本格的な執行開始による増税の影響と、シリング安による投入コストや人件費上昇がみられ、厳しいビジネス条件とインフレ圧力はケニアのビジネス界の懸念であり続ける」と分析している。

(佐藤丈治)

(ケニア)

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