総人口が過去最高、少子高齢化は一層の加速
(シンガポール)
シンガポール発
2023年10月10日
シンガポール首相府戦略グループの発表(9月29日)によると、同国の2023年6月時点の総人口(注1)は591万7,648人と、前年比5%増加した。新型コロナウイルス流行前の570万3,569人(2019年6月時点)を上回り過去最高となったが、政府は2020年と2021年の減少を考慮した人口の年平均成長率に着目し、2013~2018年(0.9%)と2018~2023年(1.0%)の各5年間の年平均成長率は同程度と分析した(添付資料図参照)。
総人口のうち、外国人〔永住権者(PR)を除く〕は176万8,395人で前年比13.1%増加した。政府は外国人の雇用が2022年6月から2023年6月にかけて増加したことが主な要因と分析している。全ての就労査証で外国人の雇用が増えたが、中でも建設・造船・プロセスセクター(注2)のワークパーミット(WP)保持者が増加した。背景として、新型コロナウイルス流行によるプロジェクトの遅れを取り戻すため、建設工事などの請負業者が労働者を増員したことがある。
国民は361万658人と前年比1.6%増加した。外国人のPRは53万8,595人で同3.7%増加した。この理由について、首相府は、渡航規制の緩和により海外在住の国民やPRの帰国が増えたことが最大の要因と説明した(注3)。
人口は増加したが、少子高齢化が一層加速している。20~64歳の国民は2013年6月には国民人口の64.9%を占めたが、2023年には61.0%に減少した。一方で、65歳以上の国民は国民の11.7%(2013年)から19.1%(2023年)に増加した。政府は2030年までに、国民の24.1%が65歳以上になると予測している。1946~1964年に出生した「ベビーブーマー世代」が高齢者(65歳以上)に突入していることが要因だ。なお、国民の年齢中央値は42.8歳(2022年6月時点)から43.0歳へと上昇した。
PRを含む出生率(合計特殊出生率)は過去数十年にわたって減少しており、2022年は1.04と過去最低の水準となった。
(注1)国民、外国人の永住権者(PR)、外国人の合計。外国人は留学生と就労許可を取得して働く在住者とその帯同家族で、短期滞在者や観光客は含まれない。
(注2)プロセスセクターには、石油、石油化学製品、特殊化学製品、医薬品の製造工場が含まれる。
(注3)国民と永住権者(PR)が継続して12カ月以上海外に滞在している場合には、人口統計に反映されない。
(糸川更恵)
(シンガポール)
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