米商務省、半導体供給混乱の警告システムの運用を開始

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月04日

米国商務省は10月2日、半導体供給が混乱した場合の情報共有システムとして「半導体警告メカニズム(SAM)」の運用を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

SAM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの目的は、商務省の産業専門家による、半導体サプライチェーン上のボトルネックの発見や評価を支援するとともに、チョークポイントリスクを低減させるために米国政府の資源をより効果的に調整・活用することにある。潜在的なサプライチェーンの混乱を早期に発見し、貿易相手国や産業界と連携して迅速な問題解決を図るとしている。SAMは任意の報告枠組みで、米国内の製造業者や関連企業が主な対象となる。報告形態も簡易で、商務省が設置した専用のEメールアドレス「semi.alert@trade.gov」宛てに情報を提供するかたちとなっている。なお、提供された情報は米国政府内で共有される可能性があるほか、米国政府が外国政府にコンタクトする際に利用される可能性があるため、米国政府外への共有を想定していない場合は、企業秘密の旨を明示する必要がある。

商務省は新型コロナ禍で実際に半導体供給不足が深刻化した2021年にも、産業界からサプライチェーンに関する情報提供を求める取り組みを行っており、そこでの経験に基づくものとみられる(2021年9月27日記事参照)。また米国と諸外国との関係では、2022年に開催したサプライチェーン閣僚会合や(2022年7月21日記事参照)、インド太平洋の14カ国で交渉を進めているインド太平洋経済枠組み(IPEF)で、SAMと同様のサプライチェーン情報の共有枠組みを追求している(2023年9月11日記事参照)。バイデン政権は半導体を巡って、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく国内の製造能力増強、最先端半導体技術の輸出管理など、相次いで重要な政策を実施している。今回のSAMはあくまで任意の枠組みとなるが、どれほど実効性を伴うものとなるか、今後の運用に注目だ。

(磯部真一)

(米国)

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