マツモトキヨシがハノイ1号店を開業、ベトナム国内7店舗目

(ベトナム)

ハノイ発

2023年10月12日

ドラッグストア大手のマツキヨココカラ&カンパニーの現地法人マツモトキヨシベトナム(注)は929日、ハノイ市内の商業施設ビンコム・メガモール・タイムズシティーに、ハノイ1号店を開業した。マツモトキヨシは2020年にホーチミン市にベトナム初出店し(2020年10月26日記事参照)、現在、ホーチミン市内に6店舗を展開しているが、北部への進出は初めて。日本ブランドを中心にベトナムの人々の生活に合った商品(健康食品、化粧品、日用品など)の品ぞろえを充実させる方針だ。

写真 ハノイ1号店の開業セレモニー(ジェトロ撮影)

ハノイ1号店の開業セレモニー(ジェトロ撮影)

今回出店した商業施設の同じフロアには、化粧品や日本製品を販売するベトナム地場系や外資系の同業他社も出店しているが、マツモトキヨシベトナムは独自のデータと商品で差別化を狙う。同社の宮岡弘樹最高経営責任者(CEO)によると、日本の自社店舗に来場したベトナム人顧客の購買履歴のデータから売れ筋を分析し、ベトナム国内店舗に売れ筋商品を優先して仕入れることで、競合他社との差別化を図るという。

訪日ベトナム人に人気の日本製のサプリメントや化粧品の中には、同社がベトナム独占販売を有するものが含まれる。日本での販売実績に基づく情報を活用しながら、ベトナムで同業他社が扱っていない商品ラインナップも前面に押し出していく戦略だ。

日系の小売業や外食業では、ベトナム最大の消費市場の南部ホーチミン市に先行して出店し、その後ハノイ市に出店するケースが続いている。2023年は、8月にABCマート、9月にカレーハウスCoCo壱番屋などがホーチミン市内に展開した後、ハノイ1号店を開店した。マツモトキヨシベトナムのレ・バン・メイ会長は、ホーチミンで人気のあるブランドはハノイでも流行しやすい傾向にあると分析する。一般的に、ベトナムの北部は南部よりも消費に対して保守的と言われるが、消費市場としてのポテンシャルは高い。ハノイ市の人口は約840万人と、ホーチミン市(約940万人)に次ぐ多さで、平均月収はハノイ市がホーチミン市をわずかに上回る。メイ会長と宮岡CEOは共同発表で「幅広い世代で健康、美容への意識が高まっている」と述べ、ベトナム北部への展開に意欲を示した。今後は、2024年までにベトナム国内で最大15店舗を展開する計画だという。

写真 ハノイ1号店の店舗外観(ジェトロ撮影)

ハノイ1号店の店舗外観(ジェトロ撮影)

(注)マツモトキヨシベトナムは、ベトナムで日本製品の輸入や外食業などを手掛ける地場企業ロータス・フード・グループ(社長:レ・バン・メイ氏)との合弁会社。同グループは丸亀製麺やちよだ鮨など複数の日本ブランドのベトナム進出にも携わる。

(安長裕)

(ベトナム)

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