金融支援パッケージの初回審査結果についてIMFと担当者レベルで合意

(スリランカ)

コロンボ発

2023年10月26日

IMFは10月19日、IMFが3月20日に正式承認したスリランカに対する4年間で総額22億8,600万SDR(約30億ドル、注)の金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム〕の初回審査について、担当者レベルでの合意に至ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IMFは9月14~27日の日程でスリランカに派遣団を送り、初回審査を実施していた(2023年10月6日記事参照)。

IMF理事会で承認が得られれば、既に拠出された2億5,400万SDR(約3億3,000万ドル)に加えて、新たに2億5,400万SDRの融資が拠出されることになる。理事会での承認には、(1)スリランカ当局による財政健全化に向けた事前措置の履行、(2)適切なタイミングでEFFプログラムが求める債務目標に沿った債務再編の完了が十分に担保される金融保証が必要とされている。

IMFはスリランカについて、インフレ率の急速な低下(2023年10月13日記事参照)や外貨準備高の回復を根拠として、マクロ経済に関する改革は成果を上げ始めており、経済は安定化の兆しを見せていると評価している。また、支払い滞納や歳入不足を除けば、6月末までのプログラムの実績は満足のいく水準だったと位置付けている。他方、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDPは前年同期比で3.1%減少している点や、外貨準備高の回復速度の鈍化を指摘し、依然として景気回復に向けて不確実性が残ることも認めた。IMFはその上で、持続的な改革とともに、ガバナンス強化と汚職に対する脆弱(ぜいじゃく)性への対処を求めている。

(注)Special Drawing Rightの略で、特別引出権。通貨ではないものの、その価値はドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンドの5通貨のバスケットに基づいた国際準備資産。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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