EU、マイクロプラスチック添加製品の原則販売禁止を決定

(EU)

ブリュッセル発

2023年10月04日

欧州委員会は9月25日、マイクロプラスチックの販売や、マイクロプラスチックが意図的に添加され、使用時にマイクロプラスチックを放出する製品の販売を禁止する規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同規則は、化学物質の登録、評価、認可、制限(REACH)に関する規則(注)の付属書17を改正するもの。マイクロプラスチックは、環境に一度放出されると、生分解されず、除去もできないことから、生物の体内での蓄積など、生態系への悪影響が指摘されている。同規則は、マイクロプラスチック添加製品を原則販売禁止にすることで、マイクロプラスチックの放出防止を目指す。同規則の施行後は、マイクロプラスチックを添加した対象製品の域内販売が順次禁止される。

同規則は、有機性で不溶性、(生)分解されにくい5ミリメートル以下のすべての合成ポリマー粒子をマイクロプラスチックと定義。マイクロプラスチックを含む製品のうち、マイクロプラスチックを意図的に添加し、かつ使用中にマイクロプラスチックが放出される製品の域内での販売を禁止する。対象品目は、意図的に添加したマイクロプラスチックの最大の放出源となっている、人工芝などスポーツ施設の表面を覆う顆粒(かりゅう)インフィルのほか、角質除去などの目的で添加される化粧品や洗剤、柔軟剤など多岐にわたる。

販売の禁止時期は、対象品目によって大きく異なる。化粧品などで既に使用が廃止されているマイクロプラスチックビーズなどに関しては、同規則の施行から20日後に即時禁止となるが、顆粒インフィルは8年後から、その他のほとんどの対象品目については、4~12年という長期の移行期間を経て販売が禁止される。詳細は、同規則の付属書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照のこと。

一方で、マイクロプラスチックが添加されているものの、マイクロプラスチックが放出されない、あるいは放出を最低限に抑えることができる製品、産業施設で使用される製品、医療機器や食品などの他のEU法令で規制されている製品は、販売禁止の対象外となる。ただし、こうした製品の製造事業者は、自社製品からのマイクロプラスチックの想定放出量を毎年、欧州化学品庁(EHCA)に報告することや、放出を防止するための使用・廃棄方法に関する説明書を提供することが義務付けられる。なお、意図的に添加されていないが、マイクロプラスチックを含む製品については規制の対象外となる。

(注)REACH規則については、ジェトロの「EU 輸入品目規制 特定危険化学品に関する規制 詳細PDFファイル(393KB)」を参照

(吉沼啓介)

(EU)

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