米NY市、職員へのリモートワーク導入を拡大、福利厚生の競争力向上も狙い
(米国)
ニューヨーク発
2023年10月25日
米国ニューヨーク(NY)市のエリック・アダムス市長は10月23日、リモートワークは優秀な人材を採用・確保し、市民に質の良いサービスを提供するために不可欠なツールだとし、リモートワークが可能な市職員の範囲を拡大すると発表した。NY市は、6月1日から有資格の職員を対象とした試験的なリモートワークプログラムを開始していた。今回拡大された対象は労働組合に所属しない約1万6,500人で、能力や具体的な職務内容に応じて週2日までリモートワークが可能となる。
同発表で、シーナ・ライト副市長は「優秀な人材の確保は、行政にとって引き続き優先事項であり、サービスを提供する能力の礎となっている。さらに多くの職員にリモートワークを拡大することで、競争力のある福利厚生を提供できることを誇りに思う」とした。
アダムス市長の同志によって設立されたシンクタンクのファイブボロー・インスティテュートは、優秀な人材に高い賃金を与えることで市の人材問題を解決すること、市職員に週2日までリモートワークを許可すること、民間企業との競争力を高めるための雇用政策の現代化を推奨すること、などの提言をしていた(クレインズ・ニューヨーク2月23日)。
NY市の非営利会員組織、パートナーシップ・フォー・ニューヨーク・シティーが9月25日に公開した、マンハッタン区に所在する主要民間企業140社以上を対象に8月23日~9月15日に実施した調査によると、完全出社を導入している企業は12%、週1~4日のリモートワークを導入している企業は83%、完全リモート体制の企業は6%だった(注)。リモートワークを導入している企業で最も多かったのは週2日(44%)で、次いで週1回と週3回がともに16%、週4日は7%だった。同調査によると、2023年9月4日以降、マンハッタン区の労働者がオフィスに出社している割合は、平日の平均で58%だとし、長期的にみても59%までしか伸びないと見込んでいる。
(注)四捨五入のため合計は100%にならない。
(吉田奈津絵)
(米国)
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