習近平国家主席が江西省を視察

(中国)

武漢発

2023年10月25日

中国の習近平国家主席は10月10~13日に、江西省九江市、景徳鎮市、上饒市、南昌市を訪問し、各地の地元企業や歴史文化地区、農村などを視察した(「新華社」10月13日)。10日に九江市を視察した際は、長江国家文化公園を訪問し、長江の水位、水質、水害対策、禁漁、治水などについての状況を尋ねた上で、長江を長江経済ベルトのハブとすることや、長江保護の重要性を訴えた(注1、同)。また、13日に南昌市で江西省党委員会と江西省政府の活動報告を受けた際は、「長江の港湾経済を発展させ、長江経済ベルト内の主要都市の建設を促進し、地域の物流と商業の拠点を作る必要がある」と、長江沿岸部の経済発展を加速させる必要性について述べた(同)。

中部地域で最も高い成長率

江西省は、中国中部地域内で最もGRP(域内総生産)が少ないものの、成長率は最も高く、ポテンシャルがある地域といえる(注2)。近年、江西省はデジタル経済産業や新エネルギー産業などにも注力しており、特に新エネルギー産業に関しては、江西省のリチウム埋蔵量が豊富なことを生かして、リチウム電池産業に補助金を出すなどの取り組みを行っている。

同省の主要産業は、非鉄金属、電子情報、食品、紡績、自動車、医薬などがある。進出する大手外資企業には、ドイツのゲトラグ、米国のフォード・モーター、日本のいすゞ自動車、マブチモーターなどで、日系企業は南昌市や九江市、宜春市などに分散しているのが特徴。2022年の外国投資額(実行ベース)は21億7,000万ドル。

(注1)長江沿岸部の環境保護を目的とした「中華人民共和国長江保護法」が2021年3月1日に施行されている。同法の詳細については、2023年3月31日調査レポート参照

(注2)本稿では湖北省、湖南省、河南省、江西省の4省を指す。2022年の実質GRP成長率は江西省4.7%、湖北省4.3%、湖南省4.5%、河南省3.1%、同年のGRPは江西省3兆2,074億7,000万元(約64兆1,494億円、1元=約20円)、湖北省5兆3,734億9,200万元、湖南省4兆8,670億3,700万元、河南省6兆1,3456億500万元となっている。

(楢橋広基)

(中国)

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