東風日産ヴェヌーシア、ケニアでの販売促進協定に署名

(中国、ケニア)

武漢発

2023年10月27日

日産自動車と中国の東風汽車集団(本社:湖北省武漢市)の合弁会社、東風汽車(DFL、注1)の乗用車ブランド「東風日産ヴェヌーシア」は10月17日、ケニア投資庁と「ケニアでの新エネルギー車(NEV)販売促進に向けた協力に関するパートナーシップ協定」に署名した。協定は、NEV分野での両国間の交流や協力を通じて、同分野での中国とケニアの貿易を強化することを目的としている。また、ケニアでのNEV販売は同国のNEV産業の質の高い発展を促進し、「一帯一路」の推進に貢献するとした。

ヴェヌーシアも他のNEV企業同様(2022年10月12日付地域・分析レポート参照)、NEVの国外市場開拓を進めている。ケニアに注目した理由として、東アフリカ最大の自動車市場を有していることや、地熱、風力、水力、太陽光など再生可能エネルギーによる発電能力が十分に大きく、ケニアでのNEVのポテンシャルが大きいことを挙げている。両国間の60年にわたる交流の歴史も含め、両国間にNEV協力の良好な基盤があることが協定への署名につながったとしている。

協定署名にルト大統領も立ち会い、翌日には習国家主席との会談も

協定が署名された「ケニア中国投資交流会」には、10月17開幕の第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムに参加するため訪中していたケニアのウィリアム・ルト大統領も参加した(2023年10月24日記事参照)。同フォーラムで、ルト大統領は60年来の両国関係の発展と「一帯一路」協力の成果を高く評価し、ケニアは中国企業が同国に投資するための良好な環境を築いていくと表明した。

また、ルト大統領は同フォーラムの翌日の18日、習近平国家主席と会談を行った。習国家主席はモンバサ・ナイロビ鉄道やモンバサ港の石油ターミナルなどに触れ、「一帯一路」が両国民に恩恵をもたらしていることに言及した。また、ケニアの特色ある高品質な製品の対中輸出を推進するほか、中国企業がケニアへの投資を行うことや、孔子学院や魯班工坊(注2)などのプラットフォームを通じた交流を加速するとした。

同日行われた習国家主席の演説で言及された「一帯一路」の質の高い共同建設に向けた8項目の行動指針(2023年10月24日記事参照)について、ルト大統領は、ケニアとアフリカが工業化、農業近代化、経済統合を実現する助けとなるものだとした。

(注1)日産自動車と東風汽車集団とがそれぞれ50%ずつ出資して設立した合弁会社。本社は湖北省武漢市に所在。

(注2)中国が諸外国に設立した外国人向けの対外職業教育協力機関。

(楢橋広基)

(中国、ケニア)

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