個人・集合住宅向けEV充電ポイント設置に政府が補助金投入

(イタリア)

ミラノ発

2023年10月17日

イタリアの企業・メイドインイタリー省は10月4日、個人と集合住宅向けの電気自動車(EV)充電ポイントの設置に関する補助金の導入についての政令を発表した(プレスリリース、イタリア語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2022年10~12月に設置された充電設備も対象になり、2023年設置分と合わせて8,000万ユーロが投入される。2023年の対象期間については今後発表する予定。購入・設置費用の80%を補助金で負担することが推定されており、個人向けでは最大1,500ユーロ、集合住宅の共用部分向けでは最大8,000ユーロ支払われる。イタリアの充電ポイントの設置数は近年急増しており、今回の補助金政策でさらに後押しされることが期待される。

イタリアの外国自動車代理店組合(UNRAE)の 10月2日付の発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、イタリアの2023年9月の乗用車新規登録台数は13万6,283台で、前年同期比22.8%増と好調だった。1~9月では117万6,882台で前年同期比20.6%増だったが、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期比では30万台少なく20.3%減だった。2023年9月の乗用車新規登録台数のうち、プラグインハイブリッド車(PHEV)のシェアは4.0%で前年同月比24.4%増、バッテリー式電気自動車(BEV)は3.6%で同1.9%減だった。BEVとPHEVの市場は徐々に伸びているものの、ドイツやフランスなど他の主要国と比べると足取りは重い。

電動モビリティーに関する調査、市場分析などを行うイタリアの団体Motus-Eは10月2日付の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、所得とBEVのシェアの関係について分析しており、イタリア北部の平均所得とフランスの平均所得はほぼ同じなのにもかかわらず、2023年1~8月でみると、北イタリアではBEVのシェアが4.0%だったのに対し、フランスは15.4%だったとした。フランス、ドイツ、オランダなどと比較すると、イタリアでは補助金の上限が低いことや、BEVに限定した企業向けの減税措置などがないことも明らかにしている。Motus-EはBEVに関する誤解を招くような情報の流布や、法制に関する情報が不確実なことによって生まれるイデオロギー的な抵抗が背景にあると分析している。

UNRAEのミケーレ・クリシ会長は前述の発表で、グリーン化の道筋を決定していくためにも、政府の時宜を得た明確な計画がますます急務となっているとし、現行の奨励制度についても、EUの目標に合わせつつ、全ての企業にとってより使いやすいものに見直すべきだとしている。

(平川容子)

(イタリア)

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