西アフリカ最大の農業関係展示会、アビジャンで開催

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年10月17日

西アフリカ最大規模の農業関連展示会「アビジャン国際農業・動物資源見本市(SARA)」が9月29日から10日8日までの10日間、コートジボワールの最大都市アビジャンで開催された。4年ぶり開催のSARA2023には約40万人が来場し(前回は約36万人)、862社が出展(同586社)した。展示会を通じた投資表明額は4,030億CFAフラン(約967億円、1CFAフラン=約0.24円)に上った(同2,380億CFAフラン)。

SARAは西アフリカの農業、畜産業、漁業、林業の直接投資機会を創出するプラットフォームで、今回のテーマは「内外的課題に直面するアフリカ農業:農業部門の改善、食料主権の保障に向けた構造革新」だった。各国から農業セクターの関係者らが集まり、テーマ別の連日のフォーラムやシンポジウム、BtoBミーティングなどが活発に行われた。

国別パビリオンには招待国オランダをはじめ、フランス、イタリアなど欧州からの参加が目立ったほか、モロッコやマリ、ブルキナファソ、ガーナ、ニジェールなど近隣アフリカ諸国も数多く参加した。イベント期間中、オランダ財務省が51%を出資する投資会社「インベストインターナショナル」はコートジボワール経済財政省との間で、同地域の農林業、水道、保健医療などの分野の公共インフラ整備に3億ユーロを拠出する覚書に調印した。

そのほか、国連砂漠化対処条約(UNCCD)の第15回締約国会議(COP15)でコートジボワールのアラサン・ワタラ大統領が提唱した「アビジャン・レガシー・プログラム」(2022年6月6日記事参照)の枠組みの下、イスラエルのネタフィム社がコートジボワール政府との間で協力協定を締結した。同社は点滴灌漑を通じて乾燥地での水の効率利用を推進し、精密農業分野を牽引してきた。コートジボワール農業・農村開発省によると、同国では灌漑可能な土地面積のうち、わずか13%しか農地として活用できていない。そのため、精密灌漑の技術導入を通じて農業のインテリジェント化を目指している。

今回の見本市には日本からも出展があり、耕運機や精米機、穀物水分計などの農業機械や部品、肥料などの農業資機材を手掛ける14社が国際協力機構(JICA)プログラムの枠組みで参加した。

パトリック・アシ首相は閉会式のスピーチで「アフリカの使命は単に一次農産物の供給にとどまらず、現地加工、現地消費を拡大し、付加価値のある輸出へ踏み出すべきだ。そのために、農業地帯の産業構造の転換が極めて重要だ」と訴えた。

写真 会場内の様子(ジェトロ撮影)

会場内の様子(ジェトロ撮影)

(藤本海香子)

(コートジボワール)

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