中国初の水素燃料電池船、湖北省で運航開始

(中国)

上海発

2023年10月18日

中国の国有水力発電大手の三峡集団は10月12日、同国初の水素燃料電池船「三峡氫舟1号」が11日に湖北省宜昌市で運航を開始したと発表した。

同船は三峡集団の子会社の長江電力、中国船舶第712研究所、長江三峡通航管理局、中国船級社などが共同で研究開発・製造した。全長49.9メートル、幅10.4メートル、深さ3.2メートル、定員は80人。鋼鉄と船舶用アルミニウムで造られており、最高時速は28キロ、航続距離は200キロとなっている。

運航範囲は主に三峡ダムと葛州ダム間のエリアで、輸送、巡視、災害対応などに使用する。試算では、従来の燃料船に比べ、年間103.16トンの重油を代替できるとともに、二酸化炭素(CO2)の排出量を343.67トン削減できるという。

船舶への水素供給・充填(じゅうてん)所として、三峡ダムの下流に「中国三峡グリーン電力・グリーン水素実証ステーション」を設置している。同ステーションには1時間で200立方メートルの水素を生成するPEM型水電解装置や1日500キログラムの水素充填システム、1時間8立方メートルの酸素充填システムなどの付属施設を設置している。1時間当たりの最大水素充填量が240キログラムで、必要な水素充量を満たすことができる。

中国の水素エネルギー産業について、政府が2022年に発表した「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021~2035年)」によると、2025年までに水素燃料電池自動車(FCV)の保有台数5万台、再生可能エネルギーによる水素製造を年間10万~20万トン、年間のCO2排出を100万~200万トン削減するとしている(2022年3月29日記事参照)

(宋青青)

(中国)

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