アジア競技大会が杭州市で開催、経済効果は6億元超

(中国)

上海発

2023年10月16日

中国浙江省杭州市で第19回アジア競技大会が9月23日(土)から10月8日(日)まで開催された。中秋節および国慶節といった大型連休(9月29 日~10月6日)と重なり、杭州市や周辺都市に多くの観光客が訪れ、経済効果をもたらした。大会組織委員会は10月7日に記者会見を行い、同日まで累計観客数が305万人、チケット額面総売上額の合計は6億1,000万元(約122億円、1元=約20円)と発表した。同発表によると、10月1日の観客数は大会期間中最多の29 万人となり、7日までの観客動員率は92%に上った。

浙江省統計局の概算によると、国慶節に杭州市の観光スポット(郊外を含む)を訪れた観光客は延べ1,300万8,700人と、前年同期比34.4%増加した。アジア競技大会期間中は、会場となった6都市(注1)をつなぐ高速鉄道「スマート復興号」が運行され、都市間の移動が一層しやすくなった。また、浙江省文化観光庁の統計によると、国慶節の同省の観光客数は延べ4,372万4,000人で、観光収入は486億4,000万元に達したという。

杭州アジア競技大会では、「デジタル聖火ランナー」をはじめ、最新デジタル技術が多くの場面で活用された。メタバースプラットフォーム(注2)、電子身分証明書、電子ビザ(e-VISA)などが挙げられる。ほかにも、杭州オリンピック・スポーツ・エキスポセンターで行われた開会式では5.5Gネットワークが使われ、中国で開催された大規模の総合競技大会では初めての導入となった。外貨のモバイル決済アプリも導入し、支付宝(アリペイ)のQRコードをスキャンすると、7カ国・地域の電子マネー決済が可能となった。

杭州市は同大会の開催が確定した2015年から、科学技術を中心にインフラ投資を積極的に行った。大会開催前の投資額がもたらした経済効果(2016~2020年)は4,141億元に上り、同期間における杭州市のGDPの7.6%相当を占めた(「杭州日報」10月9日)。

杭州アジア競技大会情報技術指揮センターの張鴿報道官は「『デジタル中国』という特徴的な魅力を発信できた。今後も科学技術の応用と都市開発を促進し、より質の高い経済成長を促したい」と発言した(「光明網」10月6日)。

(注1)アジア競技大会は浙江省の6都市、杭州市、湖州市、金華市、寧波市、温州市、紹興市が会場となった。

(注2)AI(人工知能)、VR(仮想現実)機器などさまざまな環境からバーチャル空間に集い、アバターを操作して競技をライブ観戦することができる。

(王艶)

(中国)

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