IMF、2023/2024年度のインフレ予測を引き上げ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年10月13日

IMFは10月10日に発表した「世界経済見通し」で、バングラデシュの2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)のインフレ率(年間平均)を7.9%と予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、前回2023年4月の発表値6.5%から1.4ポイント引き上げた。今回の発表値は、2024年のアジアの新興・途上国の年間の平均値予測2.7%との比較でも高い数値となった。

同国では、食品セクターを中心にインフレーションが進行する中、市民生活への影響が引き続き注視される。バングラデシュ貿易公社(TCB)の最新の発表(10月10日付)では、主要食材のうち、タマネギ(外国産、1キログラム)の市場価格は70~80タカ(約95~108円、1タカ=約1.35円)で、2022年10月10日時点から2倍の値上がり(前月比11.1%上昇)となった。同様に、ショウガ(外国産、1キログラム)は220~320タカで、同96.4%の値上がり(前月比20.0%上昇)、ジャガイモ(1キログラム)は42~45タカで、同61.1%の値上がり(前月比5.4%低下)と、前年比で顕著な価格上昇がみられる(添付資料表参照)。

当地で著名な民間シンクタンク、ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange of Bangladesh)の創設者兼会長で、世界銀行グループのシニア・エコノミストなどを歴任したマスルール・リアズ氏は現状について、「政府発表のインフレ率(2023年10月10日記事参照)と実際の市場価格にはギャップがあり、生活必需品に限って言えば、インフレ率は25%を超える状況とみている。背景には、ドル高・タカ安や、継続する輸入抑制措置(2022年7月19日記事参照)による供給力の減少(需給ギャップ)、中間業者などによる水面下での一部品目に対する市場価格の操作がある。この価格操作による影響は大きく、インフレを理由にサプライチェーンの過程で必要以上に値上げされ、過度に利益が追求されることによるグリードフレーション(Greedflation)が起きている」と分析する(10月10日ヒアリング)。

インフレは、従業員の賃金上昇や各種の調達コスト上昇の観点からも、引き続き注視される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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