ドイツの見本市「アヌーガ」で世界向けに日本食が総合出展、水産もPR

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年10月26日

ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州ケルン市で10月7~11日、欧州最大級の食品・飲料関連見本市「アヌーガ(ANUGA)」が開催された。118カ国・地域から7,850社の出展、200カ国・地域から約14万人の来場者が集まった。

新型コロナウイルス危機による健康志向の高まりや、為替変動による円安などの国際情勢の変化を背景に、欧州での日本食の関心が高まる中、ジェトロはANUGAでジャパンパビリオンを出展した。ジャパンパビリオンには過去最高規模の80社以上(共同出展企業を含む)が出展し、パビリオン外の単独出展も含めると、日本からは過去最高規模の100社近くが参加した。

ANUGAのオープニングセレモニーには、チェム・エズデミル連邦食料・農業相やケルン市のレーカー・ヘンリエッテ市長、国連工業開発機関(UNIDO)のゲルト・ミュラー事務局長らが出席。ANUGAは2年に1度の開催のため、今回が新型コロナ危機以降初めての本格開催であることや、世界の今後の食品産業の発展には、持続可能な成長や食料危機対策、イノベーションが重要なことなどを強調した。

ジェトロはジャパンパビリオン内外で日本の食品業界団体や自治体とも連携し、アルコール・飲料(日本酒や茶など)、冷凍食品(水産を含む)、調味料(しょうゆ、みそ、カレーなど)、コメ関連(米や米粉、麹など)、畜産などの多様な企業と、ジェトロの世界中のネットワークを活用したバイヤーとの商談を実施し、多くの成約につながった。

写真 にぎわうジャパンパビリオン(©ConstantinEhrchen.)

にぎわうジャパンパビリオン(©ConstantinEhrchen.)

写真 世界各国のバイヤーがジャパンパビリオンに集まった(©ConstantinEhrchen.)

世界各国のバイヤーがジャパンパビリオンに集まった(©ConstantinEhrchen.)

東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を受け、ジャパンパビリオンにはホタテを扱う水産物の事業者も出展し、欧州をはじめとするバイヤーにおいしさや安全性を説明した。

会場ではジェトロの海外コーディネーター(農林水産・食品分野)による輸出相談サービスを利用した商談も行われた。ドイツ・フランクフルト市でレストランSAKURAを経営し、ジェトロのオンラインカタログサイト「Japan Street」の登録バイヤーでもある田村隆之氏は、新たに展開予定のおにぎりに使用する日本産米を求めて、全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会のブースを訪れ、複数のメーカーとの商談を行った。同協議会の千田みずほ、東洋ライス、名古屋食糧、木徳神糧は品目団体連携として、エスビー食品とハウス食品、ハチ食品が出展した共同ブースの全日本カレー工業協同組合と協業し、日本産米を使った日本産カレーライスも来場者に配り、欧州域内外のバイヤーから好評だった。

初日の7日夜にメッセ内会場でジェトロと農林水産省が主催したJapan Nightでは、鈴木直道・北海道知事のビデオメッセージとともに、水産品や東北の日本酒をPRした。同イベントには欧州のバイヤーとドイツの有力メディアを中心に約200人が参加。現地系料理を提供するミシュラン店Agata'sのドイツ人シェフによる北海道産ホタテを使った創作料理などを提供したほか、日本政府観光局(JNTO)や宮城県庁、福島県庁などと連携したPRコーナーを設け、地元出身の駐在員が対応した。ドイツの食品関係の有力なメディアやインフルエンサーも参加してSNS上でその様子を紹介し、欧州域内での水産品と東北の日本酒の認知度向上を図った。

写真 Japan Nightの様子(©ConstantinEhrchen.)

Japan Nightの様子(©ConstantinEhrchen.)

写真 Japan Nightで福島県産の日本酒などを提供(ジェトロ撮影)

Japan Nightで福島県産の日本酒などを提供(ジェトロ撮影)

写真 欧州の食品インフルエンサーがインスタグラムでホタテをPR(Riedel PR提供)

欧州の食品インフルエンサーがインスタグラムでホタテをPR(Riedel PR提供)

次回のANUGAは2025年10月4~8日にケルン市で開催される。

(小菅宏幸、小飼志保)

(ドイツ、日本)

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